ゆいこのトライアングルレッスンD〜ひろしとプラネタリウム〜
第259回『下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ』にて、巽さんバースデー!『ゆいこのトライアングルレッスンD』に投稿し、下野さん、巽さんに実際に演じて頂いた作品です!!
スピンオフ花魁ゆいこに続き、お二人に再び朗読して頂き、感無量でございます。
本当にありがとうございました。感謝です!
今日から4日間、毎日投稿します。
都心の夜空は狭く、星もあまり見えない。
「あーあ。全然ロマンチックじゃない」
わたしは夜空を見上げながら、そう口にした。
「なら、ロマンチックな場所に行ってみるか?」
ひろしはそういうと、突然わたしを連れ出した。
「ここって、プラネタリウム!?」
「そっ、ここなら満天の星が見れるだろ?」
ひろしは、迷いなく広いシートに腰かけた。
「え、待って! これってもしや、カップルシートなのでは!?」
「え? ダメだった?」
「ダメっていうか、そのぉ、わたし達カップルじゃないっていうか……」
「あー、まだな? てか、周りからはそんなの分からないから別にいいだろ?」
ま、まだ!?
今、ひろしまだって言った?
まだっていうことは、いずれ…!?
なんで、そんなことサラッと言えるのよぉ!
体が急に熱くなるのが分かった。
「ゆいこ、おいで」
わたしは言われるがまま、ひろしの隣に腰かけた。
辺りが暗くなり、目の前には星空が広がった。
中秋の名月の話をしている。
わたし達は、ひそひそと会話する。ひろしとの距離がとても近い。
「ついこの前は、スーパーブルームーンだったのにな」
「SNSでも話題になってたね」
8月31日、それは1年で1番大きく見える満月で、しかも月に2回目の満月が見られた特別な日だった。
「ひろしって、月が好きだよね? わたし満月ずっと見てると、ハムに見えてきちゃう」
「それ、たくみも同じこと言ってた」
「うっそ、本当に!?」
わたし達はくすくす笑った。
「たくみが太陽なら、俺は月だよ」
「え?」
「ゆいこが暗闇でも怖くないように、俺がいる」
「ひろし……」
ひろしは優しく、わたしの頭をポンポンした。
映し出される夜空を見つめていると、秋の大四辺形の解説が始まった。
ふと、夏の大三角の存在を思い出す。気付けば夏は終わりを告げていた。
三角形は、まるでわたし達の関係のようだ。
付かず離れずの距離で、わたし達はずっとやり過ごして来た。
この関係が永遠であってほしいと思いつつ、もしここに誰かが現れたら、四辺形になってしまう。不安がよぎる。
わたしは、ひろしのぬくもりを感じながら、もう少しだけこのままでいたいと願った。
プラネタリウムから帰って来ると、たくみの姿があった。
「あれ? 2人でどこ行ってたんだよ?」
「どこって、その……」
「ゆいこ、はい! ハムあげる!」
「ハム? これって……!」
それはスーパーブルームーンの写真だった。
「これ、望遠レンズでめちゃ頑張ったんだぜ? ゆいこに渡したくて!」
「ありがとう」
わたし達は笑った。
たくみのまっすぐな想いが、心の中に流れ込んでくる。
「ゆいこ、今夜も月が綺麗だな」
「うん、そうだね」
わたしはちょっと、ズルい女だ。
明日は、たくみと秋祭りをお届けします!
たくみファンの皆さーん!お待たせしました!
お楽しみに╰(*´︶`*)╯
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