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(94)地球は終わらない



「こんな時に来るってどういう神経?」



その台詞とは裏腹に

由依の顔は笑っていた。

半笑いという奴かもしれない。


僕は由依の家の前にいた。

地方は繋がりにくいけど

通信インフラはなんとか機能していて

メッセージを送って

彼女を呼び出した。



「いや・・・なんつーか・・・」

「え?もしかして、地球が終わるから告白しにきたわけ?」

「だっ!何言ってんだよ!」



久しぶりに見る由依の顔は

やっぱり可愛い。

椎葉さんや小雨さんとは

タイプの違う顔立ちだ。



「じゃあ何しにきたの?」



僕は・・・

貴方の兄を殺しました。

貴方の兄は既に死んでいたけれど

僕は貴方の兄を殺しました。



そんな事言えるわけがない。

実は最近、忙しさを理由に逃げていたけれど

僕はあの日、小宮を・・・

そして、由依の兄、風馬と小雨さんを・・・



「ごめん」

「は?何の謝罪?」



「地球は・・・なんとかするから」



「え?なにそれ?どゆこと?」

きょとん、とした顔をする由依。

そりゃそうだ。

地球をなんとかするとか、僕が言い出すのだから。



「とりあえず、地球は終わらないから」

「なにそれ?」

「ふーん」

「なんだよ、ふーん。って」



「じゃあさ、もしキミが地球を救えたら、立候補しちゃおうかな」

「立候補?」

「うん、恋人に、再び立候補しちゃおうかな」

「え?だってお前・・・」

「女の子は気が変わるの早いんだよ」

「いやそういう問題かよ・・・」


「ま、無理しないでよ。何するか分からないけど」

「うん。大丈夫」


「なーんか、よく分かんないけど、地球終わらない気がしてきたよ」

由依はにこりと笑う。


その後、こう言った。

終わってほしくないって。




早々に用事を済ませ

僕は由依の元を離れた。

椎葉さんとは

僕たちが通っていた中学校で合流する事に

なっている。


久しぶりの学校は

当たり前というべきなのか

閉まっていた。

校門を登って敷地内に入る。


建物は生きていないはずなのに

誰もいないその場所は

死んでるような雰囲気が漂っていた。



校庭。昇降口。

廊下。階段。

理科室。教室。



僕はかくれんぼをしているような気分で

懐かしさに浸りながら

椎葉さんを探した。



けれども、彼女はもう

この学校にはいなかった。



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