(92)スクラップ・アンド・リビルド
スマホが使えないから
地方へ飛び、本屋を巡って
地図を手に入れ
その人がいるであろう場所に向かう。
しかし、当然というべきか
通常では入れる場所では無かったし
その人がどこにいるのかも
分からなかった。
「拉致があかんの」
「期待したけど、ダメかもね」
「じゃあ、まずは全国の基地を探すかの?」
「そうだね」
僕達はこの国の軍事施設を飛び回った。
創造の神が作ったものか分からないけど
兵器という兵器は
僕達が破壊をしていく。
「ゆー、なんだか嬉しそうだの」
「いや、なんかさ、このまま兵器を・・・世界中の兵器を壊せば、世の中平和になるのかな、なーんて」
「戦争は無くなるかもの。でも、争いは絶えないのさ」
「絶えない?」
「生物は不思議だの。脳みそが個体によって異なるのさ。だから、みんな思考が異なる。当たり前だけど、だからこそ争いは絶えないのさ」
「うん・・・」
「武器がないから平和なんて事はないのさ」
「なんだよ。ちょっと思っただけじゃん」
椎葉しいは神様だ。
そもそも神様ってよく分からない。
だってコイツらがしっかりしてれば
そもそも世の中平和なはずだ。
僕は兵器を破壊しながら、
彼女に続けて質問する。
「じゃあ、椎葉さんはどうすれば世の中平和になると思う?」
「ゼロにして、イチから作り直すのさ」
「破壊無くして、創造なしってやつ?」
「それなのさ」
「ふーん」
どれぐらい破壊して、造り直せば
世の中が平和になるのだろうか。
僕にはよくわからない。
とにかく今は可能な限り
悪用されるかもしれない兵器を壊す。
それが僕の勤めだ。
この国の北に位置する基地を破壊して
僕たちの兵器破壊は終わった。
3月の6日だった。
思った以上に
早く、それを完成する事ができた。
ただ、これで終わりとは思えない。
僕たちに見つかることまで
想定しているかはわからないけれど。
「他にも、あるのかな・・・」
僕達は春の陽気と
溶け残った雪のある
なんでもない街の公園にいた。
「考えられるとすれば、透明教の施設だの」
三依小雨のもうひとつの顔。
透明教の権力者、九段下単元。
宇宙人がこの作戦を
あらゆる人を洗脳して行なっているのであれば
僕の親と同じく、信者を使うことは
想定できた。
「とてもミサイルを隠したり、発射できそうには無いけど・・・」
でも、行く価値はある。
可能性は塗りつぶして行くしかない。
僕と椎葉さんの旅は続く。




