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85/119

(85)彼女の仕業



カーテンの先。

そこに僕は初めて足を踏み入れた。

長い廊下の先には非常口。

それ以外は扉しかない。

4つある扉の、手前から

小宮は荒々しく扉を開いた。


ガラガラ、という引き戸を開くと

狭い部屋があって

大柄な男がアイドル風の女と

密着していた。

服は着ている。


「失礼しましたッ!」


それだけ言って小宮は扉を閉めた。


4つある扉のうちの

次を開く。同じような感じだ。

3つ目。



そして、最後の扉を開く。



「なっ・・・」



僕の視界に映ったのは

三依小雨さんだった。

まさか、あの下世話な週刊誌の記事は

本当だったのか?

金を積めば、アイドルに会える。

そして、その場所が

僕のバイト先だったという奇跡。



「小雨さん・・・久しぶり・・・」


小宮と僕の姿を見て

彼女は少しだけ動じている。

さっきまで舞台で台詞を喋っていた

その綺麗な人が、今ここにいる。



「あら。懐かしい人たちね」



至って冷静な対応をする小雨さん。



「久しぶり・・・その、どうして、ここに?」


「分かるでしょ、ここまで辿り着いたのなら」



「分からないよ」



「時期に分かるわ。いま、都内の数カ所で爆破テロが起きてる」



「ば、爆破テロ!?」



のちにわかる事。

環状の路線の駅、5駅毎。

各駅のコインロッカーには

爆発物が仕込まれ、作動していた。

負傷者4名。



「ええ。スマホにも速報が入ってるわ」


僕と小宮がおもむろにスマホを取り出して

確認する。

詳細は書かれていないが、爆破テロか?という

記事が載っている。



「小雨さんがやったの・・・?」



「ええ。地球人を操ってね」


「どうして・・・そんな事・・・」


「そのうち、分かるわよ」



僕は指で銃を作って

小雨さんに向けた。



「辞めるんだ。小雨さん」



「あら?破壊神の力を、まだ持っていたのね?」

「うん。だから、撃つよ」

「撃っても無駄って事、まだ分からな」

小雨さんの台詞を待たずに

僕はそれを撃ち放った。



彼女の身体が膨れ上がり、

細分化される、

しかし、それは直ぐに元に戻った。

下部楽風馬の力は

やはり今も小雨さんの中にある。



「話の途中で撃つなんて、良くないわ」



「小雨さん。辞めるんだ」



「ふふっ・・・無理よ」

「無理?」

「もう、計画は既に始まっているの。私が止められる事じゃない」

「止められない?」

「そう。仮に私が死んだとしても、この作戦はもう始まってしまったのよ」


静かに立ち上がる小雨さん。


そのまま非常口へと

歩いていく。



「待てよ」

小宮が小雨さんを止める。


「裏切り者は黙ってなさい」

「裏切り者じゃない」

「いい?私たちが地球を取り戻した時、小宮。貴方だけは地獄行きよ。裏切り者」



小雨さんが開けようとした

非常口の扉は

外側から開かれた。



「懐かしい顔だな」



そこには下部楽風馬がいた。



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