(81)整理整頓
玄関の扉を開く。
女物のクツがない事を確認する。
というか清水さんもいないようだ。
相変わらず、香水と酒とカップ麺と煙草の匂いが
混じる、臭い部屋だ。
その部屋は広くはない。
僕の寝るスペース以外は
乱雑に置かれた脱ぎっぱなしの服や
スマホ周辺機器の箱、パチンコ雑誌などが
床を埋め尽くしていた。
夜11時。
生活も夜型になってしまって
やる事が無いから
僕はとりあえず掃除を始めた。
(げっ・・・これ・・・)
下世話なB級雑誌。
小宮が持っていたものと同じだ。
僕はそれなんとなく読む。
やはり下品な記事ばかりだ。
数百万を積めば、若手売り出しアイドル女優のM.Mと会うことが出来るらしい。
すぐに僕はそれを雑誌を重ねた場所のひとつに
載せた。
僕は片付けを続ける。
途中である事に気がついた。
この部屋にはゴミ箱がない。
だから、捨てられないのだ。
ゴミはゴミ箱へ。
ゴミ箱が無いゴミはどうすれば良いのだろう。
僕は少し考えて、馬鹿馬鹿しくなって考えるのをやめた。
少しずつ部屋が綺麗になり
片付けという目標が
薄れて行くと同時に
僕は嫌な事を思い出した。
清水さんの妹。
清水飛鳥さん。
彼女は宇宙人に殺された。
そして、彼女に椎葉さんが憑依した。
椎葉さんは破壊神となっている。
飛鳥さんの体を借りて。
でも、それが終わったとすれば
飛鳥さんは、死ぬ。
元々死んでいる。
飛鳥さんが死んでいるという
嫌な事実に加えて
それを清水さんが知らないという
その事実に胸が痛んだ。
ガチャりと玄関が開く音。
ドアノブのなんとも言えない金属音。
「おいおい、どーゆー風の吹き回し?」
綺麗になりつつある部屋を見て
清水さんが目を丸くしている。
そのままスーツをばっと床に投げ捨てて布団に傾れ込むように
彼は眠りにつく。
酒臭い。タバコ臭い。
清水さん。
貴方の妹は死んだ。
身体は破壊神が乗っ取っているよ。
そんな事、言えるわけがなかった。
ただ、分かること。
宇宙人のせいで
不幸になっている人が
いるという事だ。
僕を含めて・・・




