(76)これからのこと
「椎葉さん、ずっと氷漬けになってたの?」
僕達は倉庫のある場所から
3人でとぼとぼと歩いていた。
「見ての通りなのさ」
「寒くなかった?」
「寒かったよ」
僕はこれまでの事を
椎葉さんに話した。
中学2年生の時。
透明教の九段下単元を破壊しようとした日。
それは未遂に終わったという事。
「九段下は三依小雨さんだったんだ」
「そうなのかの」
驚いた顔をする椎葉さん。
「すみません。俺のリサーチ不足です」
小宮が平謝りをする。
確かにそうだ。
「ミーはあの日、下部楽風馬と戦ったのさ。ゆーの為に」
「うん」
「で、閉じ込められた」
「なるほど」
椎葉さんは話をしてくれた。
あの日、下部楽風馬と破壊と創造の戦いをしたらしい。
神同士じゃ、力は使えないから
周りを巻き込んだのだという。
最終的に大気から氷を作り出し
椎葉さんを閉じ込めたのだと言う。
「まぁ、みーは負けたわけなのさ」
「でも小宮が椎葉さんの事を探していた事は知らなかったし、僕が分け与えられた力で椎葉さんを解放するとは思ってなかったと思う」
「みーが頭脳で勝ったって事かの?」
「それは分からん」
椎葉さんが封印されてから
僕は全くつまらない学校生活を送った。
そして働き出して
髪を染めて
週刊誌の記者がきっかけで
なんとなく居場所を失って
逃げ出すように東京に来た。
ホストの家に転がり込んで
よく分からないバイトをしてるんだ。
そんないろんな事を
今までの事を語った。
「色々あったんだね」
椎葉さんは僕のこれまでを
簡単にまとめてしまった。
「いろいろあったよ」
「ところでゆーは、どうしたいの?」
どうしたい?
椎葉さんを解放したら
きっと言われる気がしていた言葉。
僕の人生に付きまとう
親の罪。
その発端である、透明教の幹部、九段下単元。
彼は三依小雨さんでもある。
彼女であり、彼を破壊しなければならない。
それは実を言えば
変わらない意志だった。
「小宮の前で悪いけど・・・宇宙人は破壊しなくちゃならない」
「じゃあ、小雨ちゃんをやっぱり恋の力で風馬から引き剥がすしかないの」
「いや、ところがさ・・・」
僕は椎葉さんに説明をする。
小雨さんは三依美雨と名乗り
アイドルになってしまい
手の届かない存在になってしまったという事。
「何言ってるのさ」
「は!?」
「ゆーが世界を救うんでしょ?」
な、なんだろう。
このノリ、懐かしい。
「いやいや・・・アイドルだよ?」
もう、クラスのアイドルじゃない。
国民のアイドルだ。
「死ぬ気で頑張れば、アイドルと恋だって出来るの」
「簡単に言うなよ」
そうだ。
そうだった。
【scene07 この物語は】
これは僕が恋愛で地球を救う物語だ。




