(71)トーヨコキッズ、ホスト
この都市で一番の歓楽街。
それはつまり日本で一番の歓楽街。
眠らない街に僕ら来た。
田舎者の僕のイメージだと
ここにいれば、未成年でも
何かしらの動きを取ることが出来る。
それにしても汚い。
ゲロや酒の空き缶、ゴミが散乱している。
僕が思い描く街とは違った。
煌めくネオンや灯りは
もう日付を越えたというのに
消える気配は無い。
映画館のビルがある広場に
僕と同じような年齢の人間が集まり
たむろしていた。
僕はなんとなくひとり、そこに立ち尽くした。
何かあるんじゃないかと、そう思った。
しばらくすると腕章をつけた男が
僕に話しかけてくる。
「君?何歳?」
「18・・・です」
「証明できるものある?」
「ええっと・・・」
話しかけてきた男は
明らかに行政側の人間という
空気を醸し出している。
「未成年なら、見過ごせないんだよね」
ニコッとした笑顔。
逃げるか・・・?
「オイ、何やってんだ。行くぞ」
困った僕に助け舟を出してきた男が現れる。
行政の人間を遮るように僕の前に現れる。
それはいわゆるホストみたいな出立の男。
僕は演技に乗っかる。
「す、すんません」
「オラ、行くぞこれ」
「はいっ!」
そのまま振り返ることも無く
僕はその男についていく。
男は無言のまま、行政の人間を撒くように
ぐるぐると歓楽街を歩いて行った。
しばらくして
やっと男が僕に話しかける。
「おい、ガキ。金出せ」
「へっ?」
「助けてやったんだ。金出せよ」
「いっ、いくらですか?」
金ならいくらでもある。
「その財布の有り金全部だ」
「えっ?」
「安いもんだろ?お前らキッズからすりゃ」
キッズという呼ばれ方は不服だ。
でも、この男が助けてくれた事には
変わりない。
僕は財布に入っていた7万円を男に渡す。
「んんん?」
男が僕の顔を見て、何かを考えている。
「お前さ、あれだなエー少年」
「あっいや・・・はい」
「俺さ。人の顔だけは覚えられるんだよ。お前、エー少年だよな」
「はい」
「通りで金持ってるわけだ」
「ま、まぁ・・・」
「お前、困ってんだろ?」
「ま、まぁ」
「金出せ。俺と組むんだよ」
それが売れないホスト清水さんとの
出会いだった。




