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ディストラクション・インベーダー・ラヴコメディ  作者: 大野春
【scene06:それからの僕たち】
69/119

(69)命が奪われる事


ビルの外で待っている

小宮に会うのが嫌で

僕は少し下の階のトイレで

大便器に座って

物思いに耽る。



ー〝ご両親と折り合いをつけたのか?〟ー



そんな事言われても

会い方だって知らないし

会ったからって

何をすれば、何を言えばいいかも

わからない。


そもそも塹江さんが

僕を保護した真意も

聞かぬまま今の生活に至る。

僕はあのやり手のIT社長が

イメージアップの為に保護したのだと

思っている。


そんなやつに

僕の本当の家族の事を

とやかく言われたくは無かった。

僕はなんとなく、備え付けられた

トイレットペーパーを破壊した。

指で銃を使って粉々にしてやった。

少しだけ気持ちがいい。



本当は



僕が前に進む為に

親とケジメをつけなければならない事

それは分かっている。


でも、それは別に、たぶん、

今じゃなくていい。

僕がそう思った時に前に進みたい。

今は、椎葉さんを助けなければならない。


僕が気持ちを切り替えようとした時。

小便器を利用している人達の

会話が聞こえる。


「・・・もうすぐ4年ですか」

「早いもんですね」

「文秋の特集記事読みました?」

「少年エーくんのやつ?」

「はい。ほら、上の会社の社長が保護した」

「あー、あの子か」

「」

「」



僕は思わず

耳を塞いでしまった。



嫌でも付きまとう、過去の事実。

僕が起こした時間じゃなくても

僕につきまとう事実。


耳を塞いだはずなのに

聞こえてくる。



ー〝まぁ、子どもは親を選べませんからね〟ー



よく言えるよな。

他人事のように。


僕は親が嫌いだ。

でも、心から、心の奥底から

親を嫌いにはなれない。

たまに思い出すんだ。

小さな頃、父が作ってくれたオモチャ。

母が痛みを飛ばしてくれたおまじない。

そこには人を殺すなんて関係ない

そんな姿があった。

うっすらとした記憶だけれど。

僕は愛されていたのだと

そう思いたい時がある。


それに、首相を銃撃したのは

宇宙人に唆されたからだ。



僕の事は何を言ってくれてもいい。

親の事だけは言わないでほしい。



でも今更。

どうする事も出来ない。


きっと、例えば・・・

世の中が宇宙人の事を認めて

父や母の殺人の理由が分かったとしても

きっと100%許される事はないと思う。


故意じゃなく起きた交通事故で死んだ人だって

きっと相手を恨んでるに違いない。



誰かの命が奪われる事

それは理由がどうとかじゃない。

失われた事がまず、その事実が

それが全てなんだ。


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