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ディストラクション・インベーダー・ラヴコメディ  作者: 大野春
【scene06:それからの僕たち】
68/119

(68)きらめく街へ


「眞鍋さん、僕さ」

「どうしたんですか?」


僕から話題を出す事が無いから

眞鍋さんは驚いていた。



「この家を出て行こうと思うんだ」



やる事は決まっていた。


「えっ?」

驚くのも無理はない。

「東京で、やりたい仕事が出来たんだ」

「ならば、東京でお住まいを・・・」

「自分でやるよ」

「いえ、未成年ですから」


そこら辺を分かっていなかった僕。


保護者あのひとに僕から直接話をしにいく」

「・・・」

「真鍋さんにはお世話になったよ。本当にありがとう」



ちょっとの間しか同じ時を過ごしていないのに

真鍋さんは僕の為に涙を流した。

それに対して僕も涙が出そうになった。

それを堪えた。



「とりあえず、行ってくるよ」




そんなに持って行くものはない。

少ない荷物を抱えて、僕は3年近く住んだ

豪華な家を出た。



「いいのかよ」

アホの小宮が待ち構えていた。

「うん。大丈夫」



新幹線で2時間もかからない。

僕は東京にいた。

人が多いから嫌いだ。



「このビルに?」

「うん。さっき連絡取ったら、いるってさ」

「ひとりで行くのか?」

「小宮は関係ないだろ」

「まぁ、そうだな」



スーツ姿の人たちが往来する

小綺麗なビル。

その中ある企業。

そこに僕を保護してくれた人がいる。


「こちらへどうぞ」

事務の綺麗な人に通され

僕は社長室に入る。




「久しぶりだね」



32歳。

若い。

スーツはパシッと決まっている。

僕を保護してくれた人。


塹江ほりえさん。


「こんにちは」

「髪、染めたの?」

「ええ、ちょっと」

「どうだ?色々と」

どうだ?なんて聞かれても

僕は答える気がなかった。

きっと週刊誌の事は塹江さんも知ってるだろう。

僕があの職場を去った事までは知らないのかも

しれない。


「仕事は、辞めました」

「そうか。まぁ、気にするな。支援は打ち切らない」

「塹江さん、僕は、東京で働きたいんです」

「良いじゃんか。紹介するか?」

「いえ。それは探します」

「それを言いにきたのか?」


「もう、支援は大丈夫・・・です」


その言葉に塹江さんは微笑んだ。

支援をしなくていい、という顔じゃない。

何を甘い事言ってるんだ、という

嘲りの笑いだ。


「独り立ちしたいって事か?」


「はい」


「甘いな」


「え?」


「まだ未成年だ。私の保護下にある。これは私の義務だ。打ち切る事は出来ない」

「年齢の問題ですか?」


「それもあるが、君はまだ、子どもとして、折り合いをつけてないだろう?」

「え?」



「ご両親と折り合いをつけたのか?」



「いや、それは・・・」



「新たな道を進むには、ちゃんと自分が歩んだ道を」



僕は塹江さんの説教に嫌気がさし

逃げるように部屋を出た。

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