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ディストラクション・インベーダー・ラヴコメディ  作者: 大野春
【scene06:それからの僕たち】
67/119

(67)雪道



結局、僕が存在した事。

それが悪かったんだ。



先輩が記者を殴ったことは

直ぐに警察沙汰になった。


先輩は職場を去るしかなかった。

そして補充のように

新たな人員が入ってきた。

悲しいことに、職場は回っていた。



解体場に雪が降った頃。

先輩の悪行は

週刊誌の記事となった。


それはただ、僕を悪者扱いするだけの

記事だった。


「これ、先輩ッスよね?」

僕は今、先輩と呼ばれる立場になった。

そしてその記事の事を問われている。


「うん」

「先輩って有名人じゃねーすか!写真撮ってもらっていいすか?」

舐めた態度の後輩を僕は無視した。



僕のせいだ。



僕がいたから

先輩は記者を殴った。


ただ平穏に生きるだけの日々。

それを望んでいたのに。

結局、笑い者かよ。


僕はその日以降、職場には行かなくなった。

ばっくれというやつだ。

もしかしたら、社長もそれを望んでるかもしれない。

そんな風に解釈した。



冷たい雪が降る。

何もかも嫌な事だらけだった。



また背後から気配を感じる。

僕の事を撮ろうとしているアホか。

振り向いて、カメラでも破壊してやろうか。

僕は振り向く。

もう、これ以上信用が下がることなんてない。


いくらでも書けよ。



「いや、寒いな」

「小宮・・・」


「寒いよ。寒い」

「どうしてここに?」


「いや、おれ、アホだからさ」

「なんだよ」

「お願いするしかねーんだよ」

「椎葉さんの事か?」

「うん」

「僕は、椎葉さんを助ける気にはならない」

「そういうと思ったよ。だから、今まで来なかった」


春以来。

小宮は自分の素性を明かした後

僕の前には姿を現さなかった。



「どうして今」

「寒いからさ」

「寒いとなんなんだよ」


「椎葉しいは、もっと寒い思いしてんじゃね?って思っちゃったわけ」


小宮曰く、

彼女は今、食品会社の

冷凍倉庫で氷漬けになっているという。


「確かに、冷たいかもしれないけど」



「なぁ」

「なんだよ」



「壊す事で人を助けられるなら、やった方がいいんじゃねーの?」



僕は、実を言えば

助けてもいいと思った事もあった。


でもきっと、アイツを助けてしまえば

僕はきっと、破壊をしてしまうだろう。

中学の時を思い出して。

きっと・・・



ー〝破壊だけが解決方法とは思わない〟ー



いつか、下部楽風馬が言ったこと。

僕の父や母は、破壊することに

頼るしかなかった。



そうか。

僕はずっと壊されてきた。

壊されてきて、不利益を被ってきたから。


きっと〝破壊〟が悪いものだと

勘違いしていたんだ。



良い壊し方。

良い破壊もある。


この力は、椎葉さんがくれたんだ。

僕は僕の使い方をしなくちゃならない。



助けよう。

良い、破壊で。

椎葉しいを。




「やる気になったか?」

「うん。助けるよ」

「頼む!」


まぁ、人じゃないけど。

椎葉さん。


そんな事を言いながら

雪道を小宮と歩いた。

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