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ディストラクション・インベーダー・ラヴコメディ  作者: 大野春
【scene06:それからの僕たち】
66/119

(66)愉快な絵面



その存在に気が付いたのは

僕が働き出してから半年経った秋。

由依にはフラれ

それ以来、会話もしていない。


僕はこれ以上を望む事なく

平凡な日々のありがたみを

感じていた。


それなのに

空気の読めない記者が

僕の職場にまで押しかけてきた。


工業地帯に

明らかに場違いな男が立っていてカメラを構えている。


僕は警戒していたが

職場に入ろうとしたところを

止められた。



「元、少年Aくんですよね?」



少年A。

世間の認知はそれだった。

人殺しの両親の子ども。

新興宗教に軟禁されていた

悲劇の少年。


「いや、人違いじゃ」

「ウラは取れてますよ」

「すみません、これから仕事なんで」

「ここが貴方の職場ですか?」

「やめてください」


僕が記者と会話をしていると

先輩が現れる。


「おーい、何やってんだ」

「先輩・・・」

来ないでくれ。

そんな願いなど知らずに

先輩は僕の元へ現れる。



「アンタ、誰だい?」



先輩はガンを飛ばす。

「私は週刊文秋の記者をやっておりま」

名前を聞く前に先輩はさらに質問をする。


「うちの社員に何の用?」


「いえ、取材をしておりまして」

こういう状況になれているのか

記者の男は冷静だ。


「取材?なんの?」

「彼は首相銃撃事件の時の拉致されていた少年なんです。彼の人生を取材しようと」



あー。

言ってしまったよ。

このクソ記者。

僕は静かに生きていたかったのに。



「おう!いいじゃねえか!」



は?



予想だにしない反応。

先輩の口から放たれる。

いいじゃねえか!


「いや、先輩、俺・・・」



「胸張って生きてんですよ、コイツぁ!会社ウチの宣伝にもなるじゃねーかよ!おい新人!これは仕事だ!取材受けろよな!」



その前向きな反応に

記者は想定した記事を書けない事を

確信したのか、急にテンションを下げた。



「いえ、十分。安心しましたよ。彼が非行に走っていないか、心配で」

「んなワケねぇだろ!コイツはまともな人間だ」


「いえでも彼は・・・銃撃犯の子ど」



その言葉を言いかけた瞬間だった。

先輩の拳が記者を吹き飛ばしていた。



「てめーの親の顔が見てェな」



襟首をぐっと掴む。

先輩の隠しきれないヤンキー感が

滲み出していた。


「ちょ!先輩!?」

怖いけど、愉快な絵面だった。



「コイツはコイツだ」



僕はいつか

この人みたいになりたい。

そう思った。

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