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ディストラクション・インベーダー・ラヴコメディ  作者: 大野春
【scene06:それからの僕たち】
64/119

(64)雨模様の早退


昨日の小宮の言葉が気になるが

僕は染めた髪をセットして

今日も職場へ向かう。


駅から電車ではなく

バスに乗って

工業地帯へ向かう。


工場地帯の区画のひとつに

僕の働く解体工場がある。

廃棄されたモノを解体し

それを分別する。


鉄は鉄で集めて

売るらしい。

色んな世界があるんだなって

僕はこの会社を知った時に思った。


職場に来れば

先輩が家電をハンマーでぶち壊していた。



「おはよう新入り!」

「おはようございます」



一心不乱に叩きつけられたそれに

旧型の家電は壊れていく。



破壊されたそれは

新しい形になって

再利用される。



椎葉さんの事を思い出した。

〝破壊なくして創造はないのさ〟

なーんてこと、言ってたな。

屋根もなんもない場所で

僕は作業をする。

雨が降ってきても別にお構いなしだ。



「今日は上がるか?」

「これだけ、やらせてください」



僕はさっき先輩が破壊していた家電を

丁寧に分解して、分別していた。


あの力は使っていない。


何故かと言えば、普通の人間に戻りたいからだ。


力を試した事もない。


僕は本当に真っ当な人間として

生きている。



なのに・・・

どうしてだよ。

小宮。


どうしてあんな事、伝えにきたんだよ。

お前が神に仕える調査員だなんて

知らなかったけどさ。


アホ。


僕は指で銃を使ってみた。

最後に使ったのは中学二年生。

だから、僕は1年以上振りに

自分の力を試してみた。


バン。


指から放った先にあった小さな鉄板は

粉々になった。



力はまだ、僕の中にあった。



椎葉しいを救うことの出来る、力が。



「おい、遊んでねーでやれよ!」

先輩の声が聞こえた。




休憩時間。

先輩はまた煙草を吸っている。


「今日は雨も強いから終わりだな」

「まじすか」

ラッキー。少し早めに帰れる。


僕は少し早い時間のバスに乗って

工業団地から駅に戻った。

バスから見えたその景色。

雨粒が大きくなってきた。

それが愉快に音を立てて、窓にこびりつく。

雨って綺麗だな。


そんな事を思った。


でも一向に止まない雨のせいで

傘を忘れた僕はコンビニで

無駄な出費をする。


そして店を出た時だった。



「明るくなったね」



下部楽由依が

あの日と同じ感じで

話しかけてきた。

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