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ディストラクション・インベーダー・ラヴコメディ  作者: 大野春
【scene06:それからの僕たち】
61/119

(61)中卒労働者



単純な作業だと

馬鹿にしていたけれど

僕にはそういったセンスがない。

職人さんってすげーな。

そんな事を思っていた。



「おい!しっかりやれ!新人!」

先輩の怒号が飛ぶ。

僕は何に使うかも分からない機械を

工具で解体し、分解していた。



【scene06:それからの僕たち】



中学を卒業し、

僕は働いていた。

別に、働かなくても良かった。

金は潤沢にあるから。

でも、いつまでも僕を保護してくれる人が

僕を保護してくれるとは限らない。

きっと、成人を過ぎた頃に

あっという間に僕を切るに違いない。

そんな事を思っていた。

なので少しずつ、自立の練習。



「すみません」

「調子乗って、髪染めて、気分良さそうによ。仕事はちゃんとやれよ」


こういうベクトルでいいのだろうか。

僕には分からないが

僕は今、社会の厳しさを思い知らされている。

別にやめたっていい。

それが僕を働かせるモチベーションだった。


プレハブの事務所に戻ると

汗まみれの先輩が冷蔵庫から

冷たい缶コーヒーを用意してくれた。


「頑張れよな」

「ありがとうございます」


僕は先輩が栓を開けるのを待ってから

缶コーヒーを口に含んだ。


「まぁ、新人にしては飲み込みが早い方だな」


先輩は休憩の時、僕を褒める。

現場では叱り、事務所で褒める。

これが飴と鞭というやつなのだろうか。

僕の事などお構いなしに

先輩はタバコを吸い始める。



その煙の先には、ポスターが貼ってある。

安全な作業を心がけましょう、そんな啓発をする

ポスターだった。


見覚えのある顔が

堂々と貼られている。

ポスターのモデル名が

右下に小さく表記されている。



ー〝三依優雨〟ー



みより、ゆう。


これは彼女の芸名だった。


中学時代、僕らの学校に君臨し

常にクラスのトップアイドルとして

居続けた宇宙人。


僕は今、中卒で働いていて

彼女もまた、中卒で芸能界にいる。

思わずスカウトしたくなるルックスだし

芸能界入りも納得がいく。



「なーんだお前、あの子好みなのか?」

「いやっ、その・・・クラスメートなんですよ」

「ウソはいいから。休憩終わるぞ」

「ちょっと!」



そんな事きっと

他の人からすれば

どうでもいいんだ。



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