(58)清水飛鳥
【scene05:清水飛鳥】
私の名前は清水飛鳥。
飛ぶ鳥を落とす勢いの女になれと
父が命名した。
そんな私はいわゆるフツーの家庭に生まれ
フツーに育って生きてきた。
伸び悩んだ身長や
童顔と言われた私が
モデルになる事を諦めたのは
中学3年生の夏。
高校生になった私は
政治家でも目指そうと思って
勉強をした。
でも政治は難しくて
直ぐに諦めた。
生物を習うことにした。
高校2年になれば、文理の選択を
差し迫られる。
私は理系に進もうと思っていた。
そんな
そんな平凡な日々だった。
高校で初めて彼氏が出来て
好きな音楽を聴いて
ただ普通に生きる日々だった。
「銃殺のニュースばっかりでつまんない」
あの日、私は彼の家にお呼ばれした。
彼の呼吸が荒いのを知ってたし
きっと大切なものを奪われる
そんな予感がしていた。
私はそれで良いと思ってたし
そのつもりだった。
彼の部屋で映画を観終えた後
テレビは連日、そのニュースを
流していた。
「な、なぁ飛鳥・・・」
リモコンでテレビを消した彼が
そういう空気を醸し出した。
緊張度は一気に上がる。
ドキドキしていた。
「な、なに?」
ま、まずは初キスか。
私は身構えた。
キスからのそのまま
大人の階段を登るのだ。
そんな事を思っていた。
「死んでくれないか?」
「えっ?」
予想外の言葉が飛んでくる。
彼の目が血走り始めた。
「死んで欲しいんだ」
「な、なに?怖い怖い!」
「俺さ、宇宙人なんだよ」
「はぁっ!?何言ってんの!?」
彼は自らを宇宙人と名乗った。
「俺たちはさ、最初にこの星にいたんだよ。飛鳥達は後からこの星に来たんだ。なのに飛鳥達が数を増やしたから、いつの間にか俺たちを宇宙人なんて定義してさ、追いやろうとしてるんだ」
「ねぇ、どうしたの?頭おかしくなった?」
さっきまで観ていた映画は、恋愛ものだ。
別に気が狂うような内容じゃない。
宇宙人!?
何言ってるの!?
「地球はもうすぐ終わっちゃうんだ」
「ち、ちきゅー温暖化的なやつ?」
「そうだよ。君たちのせいで」
「ねーねー、どうしちゃったの?」
彼は私に馬乗りになる。
そして、首を締め始めた。
最初は、そういうプレイ、的な
そんな甘い事を考えていた。




