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(52)決戦は日曜日


日曜日の午後6時。

僕は透明教地方本部へ到着する。

僕を若と呼ぶ信者の

銀の軽自動車に乗せられ

専用の駐車場から繋がる、裏口から

その施設に入る。



15階建てのビル。



その1階は3階まで吹き抜けになっている。

今は夜だから分からないけど

日中はその高さ分の太陽光を

1階にあるその大きな透明な板が

虹を描くように乱反射するのだという。



「これは地方としては一番大きな板です」

信者は僕にそれを説明した。

至極どうでもいい。


幾多の信者の金を巻き上げて

作ったのだろう、その透明なアクリルの板。

大きくは見えるけど、ある程度の大きさを

単純に重ね合わせただけだ。

水族館に使われている物よりも

きっと安いものだろう。


帰りに破壊して帰ろう。

僕はそう思った。



「若・・・九段下様に会う前に、一度こちらへ」



そう言って信者は僕を個室に案内した。

部屋の中は和室になっていて

信者は僕に緑茶を淹れてくれた。



「九段下さんは?」

僕は尋ねる。

はやく目的を終わらせて、帰りたいのだ。

こんな宗教施設にいたくはない。



「九段下様にお会いする前に・・・若・・・その」

信者は気まずそうだ。


「何?」


「いえ、これは若を疑っているわけではないのですが、これはルールなもので・・・」

「どうしたの?」

「手荷物の検査をさせていだきたいのです」


僕が背負っていたリュックを指差す。


「これは僕のプライバシーだ」


リュックの中にはナイフが入っている。


「いえ・・・ですがルールを守らなければ九段下様はお会いできないと・・・」



そうか。

用心深いヤツだ。

きっと僕に刺されたりする事を

恐れているのだろう。


僕は諦めてリュックを取り出す。

チャックを開けた瞬間に

僕はナイフを目視して、意識して

手を握り潰す。

土壇場で刃物を破壊した。


「怪しいものは無いよ。調べてよ」


「はい・・・」


信者の男は、申し訳無さそうに

僕のリュックの中身を確認している。


「ありがとうございました」

あっさりと返される。


「九段下様は14階にいらっしゃいます」

「案内を頼むよ」


その個室からエレベーターホールへ向かう途中。

幾多の信者がいた。


みんな生き生きとしている。

こんなに世間的に不評なのに

彼らは生き生きとしていた。


何故か僕はそれが印象的だった。



「こちらです」



14階に到着すると

〝紫陽花の間〟と書かれた部屋の前にいた。


「ありがとう」

「私はここで・・・」

そう言って信者は片膝をついて

待機を始めた。




僕はその扉を開く。



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