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(51)大丈夫じゃない


公園での会話は続く。


「ひとりで潜入するのかの?」


「うん。容易だと思う」

僕に接触を図ってきた

あの信者を使えば

九段下と会うことは容易い。



「みーもいく」

「また、由依の兄貴が出てくるかもしれない」

「そんなの行ってみないと分からないさ」


適当な理由をつけたのだけれど。

椎葉さんを連れて行きたくない理由はひとつ。



「僕の手で、けじめをつけたいんだ」



「ふーん」

「椎葉さんには、由依の兄貴の足止めをして欲しいんだ」

「なるほど」


「あの日みたいに邪魔をしてくるなら、それを阻止して欲しい」


「分かったの」



「ありがとう」



「ゆーは、九段下を破壊してどうするのさ」

「分からない。きっと・・・」


きっと。


きっと破壊したところで

何も変わらない。

それは分かっていた。

巨大な組織の宇宙人をひとり

破壊したところで・・・

何も変わらない。

世の中は変わらない。


僕は変わらず人殺しの子どもだし

学校では後ろ指をさされるだろう。

でも、やらなくちゃならない。


「きっと何も変わらない」

「地球は救えるのさ」

「その目的は、ごめん。僕にとって重要じゃない」

「どういう事さ」


「とりあえず、大丈夫」

「ゆー、本当に大丈夫なのかの?」


「元々僕は大丈夫じゃない」


「へ?」

椎葉さんは呆気に取られた顔をしていた。



「元々、僕は育児を放棄されていたし、親のせいで後ろ指を指されて生きてきた」


「なるほどの」


「その元凶が宇宙人だった」


「だから、ゆーが破壊するってことかの」


「うん」



そんな会話をしていると

銀色の軽自動車が公園に停まる。

あれは僕に接触を試みた

透明教の信者の車だ。


「それじゃあ、行くよ」

「行く?」

「打ち合わせにね」

「本当に大丈夫なのかの?」


「大丈夫。あとは連絡するよ」


「分かったの」


「決戦は今週の日曜日」


つまり、2日後。


僕は椎葉さんと別れて

車に乗る。

透明教の信者の車。

運転席には僕に接触をしてきた男がいた。


「若。私は嬉しいんです」

「いいよそういうの」

「九段下様も喜んでおりました」

「そう」

「さ、今日はまず、若の制服を作りに行きます」


日曜日。

九段下との対面が控えている。

正装をしなくちゃならないらしくて

僕は嫌なのに

父や母と同じ格好をするハメになった



笑える。



そうして

日曜日になる。

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