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ディストラクション・インベーダー・ラヴコメディ  作者: 大野春
【scene01:破壊神の女の子】
5/119

(5)清楚系エイリアン


教室に君臨するアイドル。


身長は然程高くないけれど低くもない。

体型はすらりとしていて痩せ型。

足も細いのだけれど首筋が細い。


細い首で支えられる頭ってのは当然小さい。

そういう訳で小顔。


全てが直毛ではないけど、ストレートな髪の毛。

それは肩までかかっている。


くりくりとした目。

黒目の方がその面積を占めている。

まつ毛は長くて、二重。

多分遠くから見ても目だけは分かる。

それぐらいはっきりしている。


高過ぎない鼻と笑うと白い歯が見える口。

痩せてるけど、肉付きを感じる頬。



パーフェクト。

僕がスカウトマンなら

いち早くこの人を芸能界に送り込み

アイドルにでもするだろう。



…そう思っていた自分が悲しい。

だって、三依みより小雨こさめさんのその美貌は・・・

宇宙人が擬態してるからに過ぎないという

事実を知ってしまったからだ。



休み時間。



僕は小雨さんを見ていた。

クラスの上位女子グループに混ざって

会話しているようだ。



あの人が宇宙人・・・

椎葉さんが破壊を目論む対象。



-〝宇宙人、そのうちこの地球ほしを乗っ取るつもりだよ?〟-



椎葉さんの言葉を思い出す。

小雨さんが?あの清楚系が?

この地球ほしを乗っ取る?

にわかに信じ難い。



「オウィー!何見惚れてるんだよ」

ずこ、と肩に少しの重み。



隣の席の調子乗った馬鹿が僕に話しかけてくる。

通常〝アホの小宮こみや〟だ。

小宮はアホ過ぎるから

僕との距離感がバグっている。

誰にでも等しく、アホみたいな距離感で

接してくるのだ。



「は!?見惚れてねーよ!」

「いや、見惚れてたね。小雨ちゃん見てたよね?」

「見てねーって!」

僕は少し恥ずかしい気持ちになる。

アホの小宮の声が小雨さんに届いてないか

心配だ。



「まぁ〜見ちゃうよね」

小宮は鼻くそをほじり

小指についたそれをピンと飛ばす。

こんな所作は小1で卒業してほしい。


綺麗な振る舞いで笑う小雨さんを

僕たちはありがたく観察していた。


「なぁ、小宮」

「なんだよ」


「三依さんがさ・・・仮にだぞ。仮に、宇宙人とかだったら・・・どうする?」


僕は意味もなく、聞いてみる。

彼女が宇宙人である事を知っているのは

僕だけだ!


「宇宙人だったら・・・三依星ミヨリせいがあるわけだろ?」

「う、う~ん…?そうなるか」

「つまりその星には三依さんみたいな美人がたくさんいるって事だろ!?」


小宮・・・やっぱりアホだ。

話が通じているようで通じない。


「ま、まぁ・・・そういう事になるけど」


「どうでもいい質問すんなよ!俺たちにゃ関係ねーからな!手ェ、届かないし!」



そうだ。

今、僕がアホの小宮といる位置。

そして三依小雨さんがいる位置。

クラス後方と黒板。



その距離はあまりにも遠過ぎる。



僕はあの人に近づかなきゃならない。

あの人と恋仲になって

地球を救う必要があるんだ。



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