(46)毎日
次に目を覚ますと、そこは路地裏ではなく
病室だった。
僕は無事。
今、病院のベッドで
警察と会話を終えるところだった。
「いいか?楽しみたいのは分かるが、中学生が西口の・・・それも、なぁ、あんなトコにいたらだめだぞ?」
「分かりました」
「ただ、あれだな、キミと彼女のお陰で、放火は防ぐ事が出来た。ありがとう」
そう言って警察は去っていく。
「優しい人でしたね」
世話役の真島さんが部屋にいた。
「う〜ん・・・」
なんだろう。
僕が疑り深いだけかもしれないが
警察の腹の底は分からない。
僕を疑っているようにも思えた。
その昔、僕に接触を試みた信者がいて
呼んでもないのに警察が駆けつけた事がある。
常にって訳じゃないけど
きっと僕を監視している日があるのだと思う。
これは僕の考えすぎなのかもしれない。
ただ、人の優しさに裏がある気がしてならないのだ。
「席を外した方がいいかしら?」
真島さんがそういうので顔を上げると
病室の入り口に由衣がいた。
由衣は毎日、見舞いに来てくれていた。
「また来たの」
恥ずかしいから、僕がそう言うと、
真島さんが去り
入れ替わるように由依が病室に入る。
「そりゃ、来るよ」
「もう、体痛くないし、大丈夫」
「アバラって痛いんじゃないの?」
僕は連続放火犯の馬乗りで
肋骨を骨折し、顔は殴られ
腫れていた。
「どっちかっていうと、口の中が痛い」
「ふーん」
「随分と浅い反応だね」
「悪かったわね」
「いいよ、別に」
そこで会話が一旦途切れる。
少し遠くでナースコールが鳴った。
「やっぱナースとか好きなわけ?」
「はぁっ!?」
突拍子もない話題を振る由依に
僕の肋骨が痛んだ。
「白衣の天使様ってやつでしょ」
「いや、オバさんしかいねーよ」
「失礼すぎない?」
「はい、すみません」
由依は〝何かを言いたそうな顔〟を
している。
会話が途切れて、それをやり直して
それを繰り返していくうちに
意を決したように
由衣は口を開いた。
それは僕が想像もしていなかった事。
「あのさ」
「なに?」
「こんな状況で言うのもオカシイんだけどね」
「なんだよ」
「ニキータ先生、死んだってさ」




