表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/119

(42)好きなものより嫌いなものを



ー〝少年 A〟ー



それがテレビが報じた僕の名前。

実名は無駄な配慮で伏せられた。

でも、調べればすぐ分かることが沢山あったし

インターネットで検索すれば、

それはいくらでも出てきた。



透明教に匿われていた僕は

紆余曲折を経て

慈悲深い事をアピールする為の

嫌味しかない資産家に引き取られた。


居場所を変えて

今の家にいる。

真島さんが世話役をしてくれる

僕の今の家。



転校初日から

僕の存在はバレていた。



「エーくん」

「人殺し」

「やべー奴」

「殺人鬼」

「総理大臣」

「学校くんな」

「ゴミ」

「成金」

「A」

「お前すげーな」

「鬼メンタル」

「アクリル板」



多種多様なやり方で

僕は非難を受けた。

僕は別にどうでも良かった。

そこから毎日、面白くなくなったし

それでも悔しいから義務教育を受けた。


全校集会が開かれた。

僕のいないところで。


そこから、パタリと僕への非難は

収まったように見えた。

そして、嫌なような距離感を

保ってくるようになった。


「おはよう」

「おはよう」

「おはよう」

「おはよう」

「よぉ」

「元気?」

「おはよう」

「おはよう」



テンプレートの会話。

僕もテンプレートで返答する。

誰も近寄らず、離れず。

まるで媚を売るように

ただ僕に接してきた。



「ねぇー、たまにはおはよう以外の会話しようよ」



話しかけてきたのが由依だった。

僕は最初、不意打ちを喰らったように

言葉が出なかった。



「うーん。何を話せばいいか分からない」

「じゃあさ、あれだ!嫌いなヤツの話」

「なんだよそれ」

「好きなものの話より、嫌いなものの方が盛り上がるらしいよ」

「へぇ」


そんな会話だったと思う。


場面は戻る。

僕と由依はデートをしていた。

ランチを食べながら、僕は質問を投げかけてたんだ。

どうして、僕に普通に接してくれるのかって。



「普通に接するって、クラスメートじゃん」



などという当たり前の答えが返ってきた。

僕にはよく分からない。



「いやだからさ、僕の親は」




別に明言めいて発言したわけじゃない。

それはありふれた陳腐な言葉。

それでも僕は嬉しかった。

由依の言葉が繰り返される。



「キミはキミでしょ」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ