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ディストラクション・インベーダー・ラヴコメディ  作者: 大野春
【scene01:破壊神の女の子】
4/119

(4)例外の女の子


昨日の公園での出来事。

破壊神を名乗る椎葉さんとの出会い。

その事を何度も思い出して

僕は寝不足だった。

それでも、ダサい制服に着替えて

リビングへ向かう。



「寝不足?」



用意された朝食に手をつける。

パンにバターを塗る僕を見て

その人が心配して

僕に声をかけてきた。

よほど眠たそうな顔をしていたのだろうか。



僕を心配するこの人は

僕と血の繋がりは無い。

だから僕を本当に心配してるかは分からない。


特にちゃんとした会話はしない。

いつもそうだ。

この人はただの世話役だ。

別に家族じゃない。



「行ってきます」

最低限の挨拶をして家を出る。



や、やべぇ・・・



僕史上、最高の登校。

ワクワクが止まらない。

何故なら、秘密を知ったからだ。



昨日、破壊神を名乗る椎葉さんと出会った。

椎葉さんは、僕のクラスメートである

三依小雨さんの事を宇宙人だと言っていた。



その事実を知っているのはクラスで僕だけだろう。

それだけで僕は登校したくて仕方が無かった。


つまらないはずの日常が

面白くなってきた。


クラスの美人の秘密。

それは宇宙人が擬態したものだったという事。

あの可愛過ぎる顔の理由はそれだ。

クラスの男子達は馬鹿だな。

創り物の顔に恋しているんだ。

いや僕もだったけど。



校門近くまで来ると

同じクラスの人たちに会う。


「おはよう」

「おはよ」


可もなく、不可もなく。

そんなポジションにいるのが僕だ。


「おはよう」

「おはよ」

「エー」


皆が挨拶してくれる。


「やあ」

「よお」


だけど。

テンプレのような挨拶と

テンプレのように返す僕。

会話が発展する人は少ない。



皆、挨拶以上の事は避けているのだ。



別に僕がこのポジションを望んだわけじゃない。


皆・・・僕とは距離を保とうとしている。

付かず離れずの距離・・・。

だって僕は。



「おはよ。てか、目のクマすげーな」

例外も何人かいる。



テンプレじゃない挨拶をしてくれる女の子がいる。

僕は別にコイツの事を断じて好きじゃない。

恋愛的に。


クラスのポジションは上の位置にいる女。



「寝不足でね」

「へぇ。ゲームのやり過ぎ?」


知らぬ間に僕はこの女と並んで歩いている。

校舎へと向かう。


下部楽かぶら由依ゆい

それがこの女の名前。

肌は白く透き通っていて

何となく緩くうねる髪の毛。

そして1軍女子特有のスカートの短さ。

それを先生に指摘させない

そんな世渡り上手な女。




「ゲームじゃないよ」

「何?海外リーグでも観てたの?」

「お前じゃないんだし」

「いや別に私はサッカー好きじゃないから」


そう。

僕にはまだ色んなことは

理解できていない。


だって、この女の兄貴、

下部楽かぶら風馬ふうま

創造神だから。



彼がクラスのマドンナ小雨ちゃんと

付き合ってると言われるサッカー部の先輩。

それが由依の兄貴だ。


創造神。

つまり、俺と今並んで歩いているこの女は

創造神の妹って事になる。



わけわからん。

マジで。


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