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(36)懐かしい感覚



「はいっ!テスト終わり〜ッ!」



あっという間に金曜日。

春テスが終了する。

色んな意味で。

僕は椎葉さんの答えの無い

理解出来ない話に戸惑ったままだった。



僕の正義は揺れる。



小雨さんを破壊すべきなのだろうか?

それとも、椎葉さんを手懐けるべきなのだろうか?

そもそも、小雨さんと恋愛的に発展する要素が

あまりにも無い!無いない!

立場的にも僕は小雨さんに秘密を握られているわけで

逆らいたくはない。



「テストどうだったのさ」

珍しく教室で僕に声をかけてくる椎葉さん。


「いやまぁボチボチといいますか」

「気晴らしに、今日はどっか行く?」

「どこだよ」

「楽しいところ」

「なにそれ」

「一緒に帰ろってことさ」



「は、はぁ・・・」



「良いわね。私も混ぜてもらえるかしら?」

まさかの小雨さん登場。

「あっち行け」

しっ、しっ、と言う椎葉さん。

「いいでしょ。私達、クラスメートなんだし」

「いやいや。線引きはしたいのさ」

「いいじゃない」


そんなふたりの押し問答を見て

慌てる僕の頭に違和感。


ん?


それを払うと、ただ丸められた小さな紙が

落ちた。

振り向く僕。


後ろ側にいた男子グループが

タイミングよく目線を逸らし

クスクスと笑っている。



「アイツらの仕業かの?」

椎葉さんが言う。


「質の低い人たちね」

聞こえる声で一刀両断の小雨さん。



ああ、懐かしい感覚だ。



僕を腫れ物扱いし、

僕を忌み嫌う空気感。

その流れ。


なぜ再燃し始めてるかは

分からない。

もしかしたら僕がクラスの女子と

仲良くやってるように見えたからかも

しれない。



僕はその落ちた紙屑に向けて

指で銃を放つ。

誰も分からない小さなそれは

塵となって崩れた。

今はこの力もある。

もちろん、使わないけど・・・

別に嫌なヤツは・・・

撃ってしまっても・・・なーんて。



「慣れっこだし。別にどうでもいいかな」



僕はそう言ってその場を切ろうとしたが

ふたりの押し問答は続く。


「じゃあ、分かったのさ。3人で帰ろ」

などと椎葉さんが言い出した。


「最初からそう言って貰えると助かるわね」

小雨さんは綺麗な顔を少しだけ動かす。



またひとつクラスの恨みを買った気がした。




そしてそれを睨みつけるような視線・・・

結衣の視線を感じた。

そうだ。

デートの約束をしてたんだ。




関係はこじれていく。




【scene03:おわり】

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