(31)能力者バトル
「力を俺に向けるのか」
僕の指先を見つめながら
創造神は
笑っていた。
「神同士は効かないんだろ。なら、僕が」
多分、僕の力は風馬に効くはずだ。
分からない。
「いいのか?それで?」
風馬は表情ひとつ変えない。
「僕だって、僕が分からない。破壊はしちゃいけないって思う。でも、破壊しなきゃならない時だってある」
分からない。
「それが今なのか?」
分からない。
「分からない!僕だって!どうして今自分が、貴方に指を向けているのか!分からない!」
冷静に考えて、おかしい。
これは銃だ。
それを神様だとしても・・・
由依の兄ちゃんに向けている。
「お前も結局・・・やり方が分からなくて、破壊を選ぶのか?」
その瞬間、風馬は僕に向けて指を振る。
どこから生えてきたのか分からない。
トゲトゲの蔦が僕を拘束し、
僕の指先を方向を変えた。
「くそっ!」
「俺の創造が、お前の向きを変えた。方向を変える。変えただろう。少しその矛先を変えるだけで、結果は変わるはずだ」
「説教すんなよ!」
自暴自棄というべきか。
僕は叫ぶ。
何が何だか、分からない。
きっと・・・
僕が思っていたこと
下部楽風馬が言ったこと
破壊だけが解決方法じゃない。
そう思うけど・・・
それを肯定してしまえば・・・
僕は親を否定してしまう。
それは僕を否定してしまうことになる。
それが嫌だ。
「少し、頭を冷やすといい」
そう言って風馬はまたバケツを出現させ
もう既に濡れている僕に
追い打ちをかけるように
水を浴びせた。
「ゆー、やりたい放題だね」
「それはお前だ。地球人に力を分け与えて、何を考えてるんだ」
「うるさいっ!ゆーこそ、小雨に力を使っている癖に!」
そう言った瞬間、信号機が破裂した。
遠くに見えた歩道橋が曲がる。
人が少なくて良かったと思う。
人的被害は無さそうだ。
「シヴァッ!どうしてお前は地球人の肩を持つ!?そんなに欲しいのか」
指を振り、バケツの水を椎葉さんに
掛けようとする風馬。
「みーはみーの目的があるの!」
それを爆散して雨にする椎葉さん。
「守るべきは本当の地球の子だろ?」
「強く繁栄したほうが正義だの!」
・・・僕は
つい最近までラブコメをしていたのに。
目の前では少年漫画のようなバトルが
繰り広げられていた。
夜の街に響く轟音に
あたりの人間が現れ始めた。
スマホのカメラを向けている。
まずい。
「ふたりとも!辞めるんだ!」
僕がそう叫ぶ頃には
ふたりの姿は消えていた。
僕に巻かれていた蔦が
消えている。
宗教法人の向かい側
バス停。
濡れた僕だけが立ち尽くしていた。




