(26)三者三様
通学路は長い。
学校までの道のり、多分あと5分。
僕と椎葉さんで歩く。
なんだか、塩らしいぞ。
今日の破壊神はそんな感じだ。
無理もない。
僕らキスをしたんだから。
なんだかもじもじしている
破壊神。
圧倒的有利な状況の僕。
今がチャンスなのか?
「はぁー、初キス、どんな感じだった?」
なんて僕は椎葉さんを困らせてみる。
「ゆーは何を言ってるの」
耳が赤くなっている。
「何恥ずかしがってんだよ」
「うるさい」
ドン!
その瞬間、道路標識がへし折れる。
や、やべぇ・・・
距離感がむず過ぎる。
「ゆー、一度キスしたからって勘違いしないでよね」
な、なんだそのセリフ!
「うーん、なんかごめん」
「おはようございます。椎葉さん」
最悪のタイミングで
三依小雨さんが現れる。
僕に目線を送っている。
その意図は分からない。
「おはよう、コサメちゃん」
「おはよう、椎葉さん。体調はどう?」
椎葉さんは三依小雨の事を〝コサメちゃん〟と呼び
三依小雨さんは椎葉さんの事を〝椎葉さん〟と呼んでいる。
椎葉さんが転校してきて
数日しか経過していない。
このふたりが本格的に交わる所を
僕は今、初めて見た。
混ぜるな危険的な、ふたりを。
「体調?風邪ならなおったのさ」
「良かったですね・・・ところで・・・」
「どうしたの?」
「あれ見て、何も驚かないのですか?」
へし折れた道路標識を指差す小雨さん。
「うわっ!?いつの間に!?」
僕はフォローを入れるように
しらばっくれる。
下手と言われた、演技で。
「誰かに〝破壊〟されたみたいですね」
小雨さんは冷たい微笑みをしながら
僕に語りかける。
それはそれで、リアクションがおかしい。
「超常現象ってやつなのさ」
「不思議ですね」
このふたりは
互いのことをどこまで知っているのだろうか。
不思議な空気のまま
3人で残り3分くらいの
登校をする。
なんて組み合わせだ。
へし折れた道路標識をスルーする僕らはおかしい。
何もかも変だ。
僕は小雨さんの奴隷?
僕は椎葉さんの相棒?
椎葉さんは小雨さんの破壊を目論む。
小雨さんは僕たちの地球を乗っ取ろうとする。
僕は小雨さんと恋愛しなきゃならないし
僕は椎葉さんを手懐けなければならない。
な、なんてことだ・・・
僕はどっちの味方をすればいいんだ。
これが美人と不細工の間に挟まれてるのなら
直ぐに天秤は傾くが
ふたりとも違った可愛さがある。
「やっほー」
どっちつかずの僕の前に現れる
空気の読めない女。由依。
色白の肌。
コイツもコイツで、可愛い。




