(24)取引
放課後。
計ったかのように静かな廊下。
もうちょっとで暗くなりそうな
なんだか危険な雰囲気。
僕とクラスのマドンナの三依小雨さんは
その廊下でふたりきり。
放課後お近づき作戦は
悪い意味でも、成功したと言える。
僕に問いかける彼女の顔は
綺麗だった。
今はそこじゃないけれど・・・
感心するほど綺麗な顔。
彼女は僕に問いかける。
椎葉さんとの関係は?
ふたりが西口にいるところ見たよ?
あの日は女子大生細断事件が起きたよね?
まるで名探偵。
「お、起きたみたいだねぇ」
しらばっくれるしかない。
「そういえば先日、貴方たちを見たの」
「へ?」
「公園にいた、あなた達を」
あの日は・・・
椎葉さんが電信柱を破壊して
小雨さんを襲おうとした日だ。
「突然ね、私の目の前に、電信柱が倒れてきた」
小雨さんは敢えて僕たちの存在を
スルーしていたのか・・・
「ええっ!?で、電信柱が!?」
しらばっくれるしか選択肢が無い。
「貴方、演技が下手」
無言の僕に追撃をしてくる
小雨さん。
僕の後ろから、耳元で囁く。
「分かってるの。あなたの事。あの日の事もおおよそ見当がつく」
「何のことやら・・・」
「人殺し」
もしかしたら
僕が一番言われたくなかった
その言葉を小雨さんが放つ。
僕は震えた。
「内緒にしたいよね?」
脳みそがジワジワと
細胞が騒いでいる感じがする。
「バレたくないよね?まさか・・・」
言うな。
言わないでくれ。
言わないで。
「人殺しの子どもが、人殺しなんて分かったら」
「やめろよ」
僕は必死に抵抗する。
この人が宇宙人だとか、関係無い。
「この街はおろか、きっとこの国にはいられない」
フラッシュバック。
僕の色々な記憶が。
嫌な思い出が。
父の顔が。
母の顔が。
「取引しない?」
背後から僕の目の前に再び現れて
腰を低くして、上目遣いで僕を見る。
可愛い悪魔。
宇宙人。
「取引?」
「椎葉しい・・・いや・・・破壊神」
破壊神。
その言葉が小雨さんの口から放たれる。
僕は
悪い事をした。
その罪を隠すには
小雨さんの取引に応じるしかなかった。
「貴方は破壊神を手懐けるのよ」
「手懐ける?」
「私と風馬は純愛よ。神様もね、恋に落ちるみたい」
「恋・・・」
「貴方が破壊神を転がして、平和を望めば、私の命は保証されるでしょ?そして貴方も嫌な事を世間に晒されずに済む」
「それが取引・・・」
「取引と言うべきか、貴方が私の奴隷と言うべきか・・・拒否は出来ないこと、分かるよね?」
僕はその日、小雨さんの奴隷になった。
そして、破壊神を手懐けなければ
ならなくなった。
【scene02:おわり】




