(23)女子大学生細断殺人事件
「椎葉ァ〜、椎葉ァ〜?」
担任の先生が出欠を取る。
椎葉しいの名前を呼ぶが、返事はない。
僕とキスをした翌日が今日。
その日、椎葉さんは学校に来なかった。
「しーしーちゃん、風邪だってさ」
由依が先生に報告をする。
そういやぁ、あのふたり同じ部活か。
連絡先とか交換してんのかな。
つーか、僕は椎葉さんの連絡先を
知らない。
椎葉さんはスマホを持っているというのに。
神様は風邪を引くのだろうか?
そんな事を考えているうちに
騒つくクラスを落ち着かせ
神妙な面持ちで
担任の先生がお知らせを始めた。
「お前ら、よく聞けよー」
その事について、
僕は既にネットニュースを見て
知っていた。
ー〝みんなもニュースで見たと思うが〟ー
今、世間を騒がせるニュース。
ー〝この街で不可解な殺人事件が起きた〟ー
それは、パパ活宇宙人の事だった。
ー〝女子大学生細断殺人事件〟ー
などという悍ましいワード。
ー〝まぁ常々言ってるが、西口には行かない事〟ー
担任の先生はきっと何も知らない。
ただ、物騒な事件が起きたから
西口には行くな。
それだけを伝えていた。
宇宙人だとか、破壊神だとか。
きっと知らないだろう。
何も知らない人からすれば
それはただの殺人。
僕は罪を背負った気がした。
「もうひとつ、お知らせだ。地歴の国北先生だが、1ヶ月近く休みを取るそうだ」
そしてオマケのように
ニキータの休業が発表される。
クラスはどよめく。
それ以外、何もない1日。
その放課後だった。
玄関へ向かう僕の前に
三依小雨さんが現れる。
「昨日、見てたよ」
昨日、とは、僕が理科室で
椎葉さんとキスした日の事だ。
突如現れた彼女に驚く。
「見てた?」
なんてしらばっくれても、無駄だった。
「貴方が椎葉さんといるところ」
「ああ、あれは・・・」
答えに困る僕。
「貴方、椎葉さんとどういう関係なの?」
1日にして、同じ質問をされる僕。
由依にも聞かれた。
「ただの友達っつーか・・・」
「ただのお友達が、キスするかしら?」
「だっ!」
動揺する僕。
やっぱら、見られていた!
あの事件現場を!
「やっぱり・・・並々ならぬ関係なんでしょ?」
「いやその・・・」
「そんな貴方と椎葉さんを私は先日、西口で見たの」
まるで名探偵のような動きで
僕の周りを歩き出す小雨さん。
「確か、その日は・・・女子大生細断殺人事件が起きた日・・・」
美女に心臓を掴まれた気がした。




