(12)神様に出会うまで
朝、いつもの教室。
ホームルームが始まるまでの
無秩序な教室を僕は眺める。
まるで傍観者のように。
くだらない義務教育の箱の中に
色んな人が詰め込まれている。
各々が語りたい事を語っている。
バラバラに動く集団。
その集団の中にいるのに
僕は孤独だ。
僕は小雨さんを見てみる。
三依小雨さん。
クラスのアイドル。
マドンナ的存在。
学校一の美女。
地球、いや銀河一の美少女。
あの子が地球を乗っ取ろうとしている宇宙人?
そんな話、誰が信じるだろうか?
きっと誰も信じてくれないだろう。
宇宙人は
この地球を乗っ取ってどうするつもりなんだろう。
僕には分からないことだらけだ。
昨日。
破壊神の椎葉さんが
手で作ったピストルで宇宙人を破壊した。
僕はその時、気持ちが昂った。
バレないように監視カメラを破壊しながら帰った。
なんだか本当に悪者になれた気がしたからだ。
昨日。
パパ活宇宙人の破壊の日。
その翌日。
それは今日。
いままで話しかけてこなかった
小雨さんが僕に話しかけてきた。
椎葉さんの事を探ろうとしていた。
椎葉さんは小雨さんの事を宇宙人だと言ってるけど・・・
小雨はさんは椎葉さんの事知ってるのか?
それに、椎葉さんが破壊神だって事も・・・
とにかく、あの2人を会わせてはならない。
そんな気がした。
そう思ってから、聴覚は
聞いた事のある声を捉えた。
「初めまして。みーの名前は椎葉しいです」
え?
壇上に立つのは
制服姿の椎葉さん。
気が付けばホームルームが始まっていた。
教師が転校生を紹介していた。
この教室には
僕がいる。
そして
僕と手を組んだ破壊神がいる。
さらに
破壊神が破壊を目論む宇宙人がいる。
その宇宙人と付き合っている
創造神の妹がいる。
そんな教室の秘密を知っているのは
多分僕だけな気がする。
それだけで、正直
胸が躍る。
面白いかも。
今、人生で一番。
暗いことばかりの僕の人生で。
毎日が面白くなかった。
学校って
どうして面白く無いんだろう。
中学生になって2年目になる。
親戚のおじさんや
僕の面倒を見てくれる
赤の他人のあの人も
〝中学なったら楽しくなるぞ〟なんて
言ってくれたけど
楽しくない。
面白く無い。
きっとこのまま年を重ねると
面白く無い人生を歩んだ
面白く無い僕の出来上がりなんだ。
そう思っていた。
神様に出会うまでは。
きっと、あの子が破壊したのは
僕のつまらない日常だ。
【scene01:おわり】