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(117)やり残していたこと



「時間です」



面会室にいた看守が

俺と父に時間を伝えた。



「最悪な人生をありがとう」



もう二度と、来るものか。



俺は勝手に父を美化していた。



世間の評価は二分しているけれど

俺自身は地球を救ったヒーローだなんて

そんな事を言われる時がある。

時が過ぎるとともに

様々な事が議論された。


それでも、嫌な事に目を向ければ

誹謗中傷は治らない。




犯罪者の遺伝子。



史上最悪の子ども。



地球を窮地に追いやった大罪人。



地球を救ったはずなのに。




結局、俺は親のせいで

真っ当な評価を受けることはない。



親は子どもを選ばない。



父の洗脳は解けそうにない。




「そんな皮肉を言いにきたのか」


「そうだよ。アンタのせいで」


「それでも、生きてきたんだな」



そうだよ。

生きてきたんだ。

嫌でも。

親を選べない人生でも。




「アンタの事は、やっぱり許せない。でも、アンタは・・・俺の」



「時間です」



アンタは俺の父さんだ。




ー〝キミはキミでしょ〟ー



ー〝親と折り合いをつけたのか?〟ー



ー〝破壊無くして創造は無いのさ〟ー




俺の人生は破壊された。

宇宙人が理由かもしれないけど

俺の人生は父に破壊された。



破壊されたから。



今、俺は俺の人生を

創り始めている。



色んな罪を背負って。



それでも、生きていかなくちゃならない。



俺は面会室を出た。



そして思い出した事があった。

やり残した事。忘れてた事だ。



地球が終わりかけてた日。



俺の腹に蹴りを入れてきた看守を

見つけた。




迷う事なく、俺はソイツの腹を蹴った。



この人には悪いけど

父に対するどうしよもうない気持ちを

サンドバッグに見立てて


俺は蹴った。



そのまま走って逃げたけど

看守が追いかけてくる事は

無かった。




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