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111/119

(111)清水さん



メッセージを無視していたのは

俺の方だ。

地球を巻き込んだ痴話喧嘩の映像は

全人類の大半は見ている。


そこに俺の姿と妹の姿があって

清水さんが俺に連絡を取りに来るのは

当たり前のことだった。

でも、俺は無視をしていた。

どう説明したらいいか、分からないからだ。



俺はばあちゃんと会って

とんぼ返りでしんきょにいる。

そこには当たり前のように

椎葉さんがいた。



「ゆー。元気なさそうだの」



その猫みたいな眼差しを

俺は直視する。

そうすると椎葉さんの顔は

赤らんだ。



「椎葉さん。隠していたことがあるんだ」

「なんだの?」



俺は打ち明けた。



偶然が重なっただけの話。

俺を東京で拾ってくれた恩師

清水さんの妹は

椎葉さんが今憑代にしている

清水飛鳥さんであると言うこと。



「清水さんは、妹さんをずっと探していたんだ」



「そうなのかの」



「どう伝えたらいいか、分からないよ」



清水飛鳥さん本人は

もうすでに死んでいる。

椎葉さんが乗り移っているだけ。

それで形を保っているに

過ぎないと。




「飛鳥は死んでしまったの。たまに、みーに語りかける事はあるけれど、きっとみーが身体から離れれば、すぐに冷たくなる」



「どうしたらいいんだろう」



「その通りを伝えればいいんじゃないかの?」

「は?」

「その通りを伝えて、お兄ちゃんの反応を待つしかないの」

「いや・・・」



でも、そうだ。

俺が決めることじゃない。




「その時は、みーは飛鳥の身体から離れるかもしれんの」




「え?」




「だってそうだろう。お兄ちゃんからすれば、妹が乗っ取られてたら不快だもの」

「うーん」




それは嫌だ。



椎葉さんがいなくなるってことだよな。




「みーはそこら辺を飛ぶカラスの死骸にでもなって、空を飛んだっていいのさ」




「本当に?」




「本当は嫌だけど、みーだって人間の事、理解し始めたんだの」



「椎葉さん・・・」



「死んだ人は生き返らない。みーだって知ってた。一度壊れたものはもう、戻らない。それは摂理だから。みーはそう生きるしかないんだの」



そんなの嫌だ。

そう思っても言えない俺がいる。

清水さんの反応を待つ事にしよう。



きっと清水さん的には

椎葉さんが憑依して妹さんが生きている事を

望んでくれると思ったからだ。



「まずは、話をしに行かなくちゃ」



事実に至る、理由を

清水さんに話に行こう。



「みーもついていく」


「うん」





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