(11)ミスパーフェクト
え?
どうして?
今まで話しかけてこなかったのに。
いや、話しかけたこともなかったのに。
クラスのアイドル
三依小雨さんが・・・
僕に話しかけてきた。
除け者の僕に。
目の前の小雨さんは
今日も黒髪ロングを揺らしていた。
学校はおろか地球イチ可愛いかもしれない。
そんな子が僕に話しかけてきた。
「おはよう」
「お、おはよう」
「昨日、可愛い女の子と歩いてるとこ、見たよ?」
小雨さんが僕にそう、問いかけてくる。
昨日は僕と椎葉さんが
パパ活宇宙人を破壊した日。
一緒に歩く姿を見られていた。
「えっ?」
「あの可愛い子は誰?」
「えー、えっと・・・」
破壊神の椎葉しいです。
なんて言えない。
「アレだよアレ・・・うーんと・・・」
「誰なのー?」
きゅるん!という瞳で僕を見る小雨さん。
や、やべぇ。ガチで可愛い。
間違えるなよ僕!
この人は宇宙人だ。
「アレは、ととと、友達だよ!」
「へぇ〜。トモダチ、ねぇ」
小雨さんの目が細くなる。
小雨さんは宇宙人。
初めて僕に話しかけてきたかと思えば・・・
椎葉さんの事を探ろうとしているのか?
「そう。友達」
「西口にいるのを見たけど、なんで西口行ったの?」
僕は尋問を受けてるような気分になる。
やはり、探りを入れてきている。
質問に困る僕。
普段は行っちゃいけないと先生が言う
その場所にいたのだ。
「うわっ!珍しい組み合わせ!」
困っている僕に割り込む様に現れたのは
下部楽由依。
僕との距離感が近い女の子。
そして、創造神の妹。
た、助かった。
「おはよう、由衣さん」
「おはよー、三依さん。何話してたの?」
「ちょっとした事、よね?」
僕にそう、同意を求めて小雨さんが去っていく。
由依を避けているようだった。
小雨さんを遠目で見て
由依はつぶやく。
「私、三依さん嫌いなんだよねー」
ずばりという彼女。
僕は聞いてみる。
あの噂の真相。
「お前の兄貴と小雨さんって付き合ってるの?」
「そだよ」
あっさりと返ってくる答え。
少しショックだ。
「兄貴取られたから、嫌いなの?」
「う〜ん、なんか違う」
「違う?」
「なんだろう、ミスパーフェクトって感じでさ、違和感?ってヤツかな?」
由依の推理は当たっている。
コイツ、もしかして・・・知ってるのか?
そもそも、コイツは創造神の妹。
って事はつまり、コイツも神!?
「な、なぁ、お前の兄貴ってさ、神様だったりするの?」
「ペレは目指してるよ」
「は?」
「サッカーの神様」
「いやそういうことじゃなくて・・・」
「どういうこと?」
その素ぶり、反応を見る。
由依は何も知らないような顔をしている。
これが演技なのか
自然な反応なのかは分からない。
「いや、なんでもないよ」
それにしても、なんだろう。
嫌な予感がする。
小雨さんが
僕を探っている。
小雨さんもまた椎葉さんを
警戒しているのだろうか?