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ディストラクション・インベーダー・ラヴコメディ  作者: 大野春
【scene:09】 ディストラクション・インベーダー・ラヴコメディ
105/119

(105)みー(3)




ー〝思い出した?〟ー



飛鳥がみーに語りかけてくる。

いつの事?

みーはいつの事を思い出す必要があるの?



ー〝ほら、理科室で社会科の先生を破壊しようとした時。私の初キッス奪われたじゃん〟ー



あー、あの時は

本当に驚いたの。



ー〝たぶん、ずっとそれが忘れられなかったんだよ〟ー



みーが人間の身体を依代にしているからなのか

理由は分からない。

でも、頭がぼーっとする。


ふわふわ、というか、ほわほわ、

というか。

頭が真っ白になる。

どうしてこんな事・・・



ー〝面白いでしょ、人間って〟ー



重なった唇が離れたかと思えば

目の前のゆーが、みーの手を取った。

右の手を左の手。

左の手を右の手。

向かい合って、手を繋ぐ。

そしてそれぞれの指が絡む。



ー〝きゃっ!恋人繋ぎだ!〟ー



キスだけじゃない。

これだけでも、なんだかみーは

もじもじしてしまう。



「椎葉さん。もう一回、いい?」



「だっ!」



「やっぱやめとく?」



「お、お願い事は一回だけだの!」



「本当に?」



「ゆーには、お世話になったからの。しょうがない」



「へぇ。じゃあさ、椎葉さん」

「何だの」

「空に浮く、鉄板を意識してみて」


そのまま、また、唇が重なる。


宇宙人が用意した、鉄板を意識しろ?

みーはそれを思い浮かべてみた。

それを思い浮かべながら

唇の神経を刺激する、唇の刺激に

頭がいっぱいで

それ以外の事を考えられなくなってしまった。



そして、繋いでた両手に力が入ってしまう。

パーの手がグーになった。



ミーの力が発動してしまった。

不覚だったの。



巨大な鉄板は

ミーの制御の効かなくなった力で

簡単に折りたたまれて

ジュースを買えるくらいのコインの大きさになって

空から、どこかへ落ちていった。



それはみーが負けた証拠だった。



とはいえ、やろうと思えば地球は壊せる。



でも、みーは思った。



もうちょっと、人間の事を

知らなければならないって。



特に、恋愛について。




【scene09 ディストラクション・インベーダー・ラヴコメディ】

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