(103)みー(2)
「どうして勝手にいなくなったんだよ!」
そう言われて、みーは
その理由を説明するのが恥ずかしくなった。
よりしろとしているか、この女の子の思考を借りる。
その脳みそで理由を語ろうとすれば
その理由は明確であった。
「みーにとって、ゆーの役割は終わったからの。一緒にいる理由なんてなくなったのさ」
みーがそう答えた時だった。
ー〝ねー、私の身体使ってさ、何してんの?〟ー
みーの憑代、清水飛鳥の意思が
何故かみーに語りかける。
必死に抑えようとする。
ー〝どうして強がってんの?〟ー
強がる?
みーが?
破壊の神である、みーが?
「用事が無くなったら、はい終わり、かよ。人間も大概だけど、神様ってのはろくなもんじゃねーよ」
目の前にいるゆーの顔付きは、怒りの表情だった。
どうしてみーは
その顔を見て
焦っているんだろう。
ー〝分かるでしょ?〟ー
ー〝神様って、不完全だね〟ー
うるさい。
清水飛鳥。
みーは破壊の神。
ー〝ねぇ、楽しいんだよ〟ー
ー〝私は死んじゃったけどさ〟ー
ー〝人間って楽しいんだよ〟ー
うるさい。
「うるさい!」
「うるさい!?何がだよ!あの日僕の前に現れて、手を組んで、利用して!僕の人生はこれからなんだよ!地球なんて終わってたまるかよ!」
どうして、怒らないで。
地球は破壊して、生命は進化させる。
それだけの事だの。
ただ、ゆーには地球が終わる前に
少しでも後悔してほしくなくて
由依の所に置き去りにしたんだの。
だって、ゆーは
由依とデートしてた。
だから、地球が終わる時ぐらい
由依と一緒にいたらいいって。
みーはそう、思ったんだの。
ー〝でた、強がり〟ー
ー〝分かる?強がっちゃうでしょ〟ー
ー〝楽しいんだよ。人間って。不完全で歯がゆいの〟ー
ー〝恋って楽しいんだよ〟ー
恋?
何を言ってるんだの。
「椎葉さん!」
みーの名前を呼んでいる。
「なっ!なんだの!みーは忙しいんだの!」
「願い事決めた!」
「何だの!?」
つかつかと歩きながら
近寄ってくる。
みーは何も出来なかった。
「キス!!!!!」
き、キス!?