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ディストラクション・インベーダー・ラヴコメディ  作者: 大野春
【scene:09】 ディストラクション・インベーダー・ラヴコメディ
102/119

(102)人間は不完全


「椎葉さん!」



僕は彼女の名前を呼ぶ。

国営放送のスタジオに

少し手荒な方法で侵入した。


退屈なスタイルで

その時を待っている椎葉さん。



「久しぶりだの」

「久しぶりとか・・・そうじゃなくてさ」


突然テレビに出たと思ったら、

地球を破壊する?

こいつは何を言ってるんだ。

よくわからない事だらけだ。



「地球を壊すつもりなの?」

僕は椎葉さんに質問をする。

おそらくだけど、この映像は中継されている。

たぶん。



「そうだの」

「なんでだよ」

「説明はしたつもりだの」

「聞いてない。分かりづらい。ちゃんと教えてよ」


「みーは神」

「知ってるよ」

「神は概念。憑代がなければ実体にならない」

「それも聞いたよ。だから、死んだ人に取り憑いてるんだろ?」

「そうだの。みーの目的は憑代であるゆー達生命体の進化」


「進化?」


「みーは何度も惑星ほしを破壊してきたの。破壊する度、生命体は違う惑星ほしに逃げては進化してきた」


「だからなんだよ」


「みーの理想の憑代を手に入れるまでは、みーは破壊を繰り返すのさ。破壊なくして、創造は無い。人間は不完全体だからの」



人間は不完全。



確かにそう思うけれど。

僕達はこの地球ほしの頂点に立つ生命体だ。



「確かにそうだと思うけど。椎葉さんの都合で地球が破壊されるのは、意味がわからないよ」



「みーからすれば、ゆー達が拒む理由が分からんの」

「当たり前だろっ!」



そうだよ。


地球が終わっちゃうって事は

それは僕たちが死ぬって事だ。



「死んじゃ・・・殺しちゃダメなんだよ・・・」

僕はそう言いながら、手のひらを広げていた。



「みーと戦う気かの?」


僕は怒りがおさまらない。

理由はふたつあった。


「椎葉さん。手を組むって話をしたよね?」

「そうだの」


「なんなんだよ、あの約束!結局地球が終わるなら、僕には何のメリットも無かったじゃないか!」



「そうだの」



「そうだの!じゃないよ!僕が頑張ってきた意味がない!」



「なら、ひとつ、望みを叶えさせてやるの」



椎葉さんが提案する。

まさかの提案。

え?義理堅いの?



「但し、地球を破壊しないで、ってお願いはダメだからの。あと、ミーを破壊するとか、ダメ」



「勝手すぎるだろ、条件が」



「別にそもそも、ゆーに褒美をやろなんて言ってないからの。オマケってだけだの」




腹が立つ。

こんなに可愛い顔してるのに。

地球は終わるかもしれない。


だから僕は自分の感情を

怒っているもうひとつの理由を

彼女に言い放つことにした。



「願い事の件は後だ!言いたい事がもうひとつある!」



「は?何言ってんのさ?」




「どうして勝手にいなくなったんだよ!」




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