(101)みー(1)
テレビ局の照明は熱い。
みーは今、カメラの前で
独白を終えた。
やっと、最後の邪魔な宇宙人を倒したの。
みーの仕事は第二の段階に入る。
そもそも今、この地球にいる大半の地球人は
元は別の惑星にいた生命体だったの。
それをこの星にもちこんで
今の人まで成長させた。
次はどうなるのか
ミーは楽しみだ。
神は概念。
足りないものがあるとすれば
実体なの。
今はヒトの身体を依代にしているけれど
今後ヒトが進化すれば
もっと良い依代に憑く事が出来る。
破壊を繰り返し、星を変え
惑星を引越して
生命体を進化させる。
そのとき、邪魔者がいては困るの。
ましてや地球を乗っ取ろうとして
ヒトの進化を止めようとする存在は
ひとつ残らず破壊しなければならない。
それにしても
創造神が邪魔をするとは思わなかったの。
ま、それも終わりだの。
生命体の次のステージへ向かわせる。
いつもの作業なのさ。
ミーからすればそれは数分の感覚だけど
人間の感覚にすれば何億年。
次は出来れば羽でも生えてくれれば楽だの。
それにしても、人間って
本当に参った生き物だ。
時折、感情がミーを邪魔していた。
だから、みーはゆーを置いてきた。
地球を破壊するまでの間、
少しの間、ゆーに猶予を与えたのさ。
そしたらゆーは案の定、下部楽由依に
会いにいってた。
きっと、地球の終わりに
ゆーは由依を選んだんだの。
そんなことを思った。
さて、
あとは地球を壊すだけ。
地球を壊すにはそれなりの力が必要だけど
下部楽風馬が創っていた
大きな鉄板のおかげで
容易に地球は壊せそうだの。
さて、どうなるか見ものだの。
地球を飛び出して、逃げる生命体がいるのかの?
それとも、崩壊した地球の破片に
地球人のDNAが刻まれて
また遠くの星へと
飛んでいくのかの?
どんな進化をしてくれるのかの。
みーは楽しみでならない。
次に進化した生命体には
出来れば感情なんて
あってほしくない。
だって今、みーは
少しだけ揺らいだから。
数日ぶりのその顔に。
まさかここまでやってくるとは
思わなかった。