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ディストラクション・インベーダー・ラヴコメディ  作者: 大野春
【scene01:破壊神の女の子】
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(1)奇抜な猫



今日も面白くなかった。



学校って

どうして面白く無いんだろう。


中学生になって2年目になる。


親戚のおじさんや

僕の面倒を見てくれる

赤の他人のあの人も

〝中学なったら楽しくなるぞ〟なんて

言ってくれたけど


楽しくない。

面白く無い。


きっとこのまま年を重ねると

面白く無い人生を歩んだ

面白く無い僕の出来上がりなんだ。


そう思っていた。



神様に出会うまでは。



きっと、あの子が破壊したのは

僕のつまらない日常だ。




【scene01:破壊神の女の子】




家に帰っても、面白い事は無い。



僕の最近の趣味。

面白いこと探し。

金では満たされない、面白い事。

それを探していた。



例えば、雲を見てみる。

雲の形は様々。

あれなんかどうだろう。

ちょっとだけウンコみたいな形をしている。


…ああ、もちろん面白く無い。


通学路から少し離れた公園に寄ってみる。

なんとなくベンチに座って、年下の男たちの

遊びを眺めてみた。

僕はもう中学生だから

小学生の遊びは微笑ましい。

微笑ましいだけで、面白く無い。



「別にみーは誰でもいいのさ」

「誰でもいい?」

「でもゆーは割と近道な気がするのさ」



ベンチに座る僕の視界に

突如現れる女の子の顔。

僕は思わず驚いて背もたれの無いベンチから

そのまま倒れる。


・・・ってあれ?


理解できない。


ベンチに座ってたのに、ベンチが無い。

今さっき、尻をつけていたベンチがない。


僕は気が付けば、地面に仰向けになっていた。

視界に映る女の子のパンツがギリギリで見えない!

スカートにチラリズム。


「な、なにが起きたんだ…今…」

僕の独り言に対して、女の子は関係ないことを口走る。


「ゆーはさ、凄い退屈そうな顔してたね」


ゆー?Youって事?

僕に話しかけてきているのは

間違いない。


「僕の事?退屈?退屈してたけど…」

「じゃあさ、みーと手を組んでよ」


「さっきから、何言ってるの?」



「みーは神。破壊神」



「え?」

ショートボブの黒髪。

紫色のパーカーを着ている。

スカートは赤のチェック柄。

よく分からないセンス。

例えるなら奇抜な猫みたいな感じ。



「ゆーは地球人」

「何言ってんだよ」

「この星には、宇宙人が混ざってるし、創造神もいる」

「はぁ?」


女の子が意味不明な供述を始めたころ

僕は起き上がって、砂だらけの背中を払う。


立ち上がってみると

破壊神を名乗る女の子の身長が低いことが分かる。

ついでにわかったこと。


可愛い。


「ちょっと!ごめん!さっきから、何の話?」


「みーは極論、誰でもよかったのさ」

誰でもよかった。

二度目の台詞だ。


「聞いたよ!それ!」


意味は全く分からなかった。


「みーと組んでよ」


でも、面白そうだったから。

たったそれだけの理由だ。

お金では買えない。

面白い事を探していた。



「退屈してたんだ。手を組むよ」



僕はそう答えたんだ。



それが

良かったのか

悪かったのか

その時の僕には分からなかった。



夕暮れの公園。

僕と破壊神は出会った。





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