チケット
あの日から時がたち物語がうごきだす
あの日から数年後
僕は、高校二年生になった
ミーンミンミンミーン
夏の日差しが教室に差し込み
蝉の歌が脳を揺らし
窓からは、じめじめとした風が吹く
「太陽、おい太陽って」
窓から目を離し振り返る
「ぼけーとしてどうした?暑さで頭でもイカレたか?」
「お前は何でそんなに元気なんだよ」
そう言って俺の机に座っているこいつを突き飛ばす。
海風かける、こいつとは昔からの腐れ縁だ。
昔はまじめでおとなしい奴だったが、高校に入ってからは、
髪を金に染めピアスなんかもしていわゆる高校デビュー組だ。
「お前急に押すなよあぶねーだろ」
「俺の机に座ってたからだろ」
夏休みなのに講習で学校にきているうえに、
なんでバカにまでウザがらみされなきゃいけないんだよ
萎える単純に
「それで太陽今日ってこの後あいてるか?」
どうせくだらないことに付き合わされる
最近はずっとこいつといたからなんとなく何がしたいのかわかった。
「いやだよ、今日はすぐ帰る。バカと違ってずっと遊んでられねーから」
「えー姉貴からチケット二枚貰ってきちまったぞ」
チケット?予期せぬ返答に思考が固まる。
「何のチケットだよ?」
気が付いたらすでに聞いてしまっていた。
どうやら好奇心には俺は逆らえないらしい。
「このド田舎にある唯一のライブハウスそのチケットだよ」
一度は行ってみたいとは思ってはいたライブハウス
一人で行く勇気がなく一体何度店の前までいったか。
そこに行ける!!
「行こう!!かける」
「えっ!!お前予定は?」
「そんなのいいから。頼む一緒に行ってくれ」
「いや、誘ってんの俺!!お前が頼むなよ」
持つべきものはやっぱり友達だ。
こんな幸運な日はない。
「それじゃライブハウス前に19時集合な」
「わかった19時だな。」
それから何を話して帰ったかそんなのは覚えていなかった
ただライブハウスに行ける興奮とワクワクで夏の暑さを忘れていた