43話 入場するぜ!!!!
みんなと軽い挨拶を終えた僕は控室に戻ってきた。よし!僕、鈴木拓朗は気合いを入れて控室のドアを開いた。
「「初めましてー!」」
「え……?」
「「え……?」」
な、なんでいきなり僕と旭は同じバンドのメンバーに挨拶されてんだ?これから頑張るぞと気合いをいれたばっかりなのに変に緊張感を抜かないでくれ。
「なんで僕に初めましてーって挨拶してんの?」
「なぁ〜んで、お客さんたちはここに来てな〜ぁいの〜ぉ?」
「そうだよ!だから拓朗くん達とそのお友達が控室に来たら驚かしてやろうと思ったのに。」
どうやら最初に顔合わせのようなものをしてからライブをするのだとみんな勘違いしていたみたいだ。いや、僕もライブするとしか言ってなかったし、当日の動きも時間になったらお客さんが来てライブするってことしか言ってなかったから僕も悪いな。
「MCで自己紹介とかするからなんか二回もする必要なくない?って感じちゃって……。」
「確かにいつもMCで自己紹介とかしてるけど今回やったらバレちゃわない?」
これは栞ちゃんが言ってるのが正しいな。それじゃあどうしようかな、と僕が悩んでいると。
「君たち、早くしたまえよ。お客さんが私たちのアクトを楽しみにしているのだろう?MCなんて後で参考にしたとか適当なことを言っておけば良い。行くぞッ!」
「ま、まって……。」
言うことだけ言ってPAさんに合図出して入場曲を流してしまったクロエさんもといホーリィさんが行ってしまった。
一応ゆっくり話している間に機材などのセッティングは完了しているのですぐに始められる状態ではある。なんだか、緊張感とかなくなってるけどま、いつもこんな感じだし問題ないか。と言うか、クロエさんさっきまでまともに喋ったり伸ばしたり自由に話してるな。それに切り替えが早い。見習わないとなぁ〜。
僕たちはホーリィさんの後について行った。あと栞ちゃんは小声でクロエさんにかっこいいって言ってたの聞こえたけど黙ってるね。
◇◇◇
ワンドリンクを実は楽しみにしていた私、田中すずは控室に入っていった拓朗くんを見送った。緊張してるっぽいけど前回の決闘でのギターもすごくよかったからなぁ〜。しかも今回は前回と違ってアウェーな状況ではない。もしかしたら前回よりももっといい演奏を行う可能性があるなぁ〜。
「すずちゃん、なんか楽しそうだね。」
「うん、前回の演奏はとてもすごかった。めちゃくちゃ上手かった。だから今回も期待してるんだぁ〜。」
「そうなんだね。私も前回の演奏すごい好きだから楽しみ!」
「俺もだぜ!俺も!だって、あんなに胸を躍らせる演奏は初めて聞いたからな!」
「琢磨は音楽とかあんまり興味なかったからね。」
「おう!だけど拓朗がやるバンドの『クライス』だろ?そのバンドの曲はちゃんと聞いてきたぜ!だからすんげ〜楽しみだぜ。」
私たちが拓朗くんたちの演奏を楽しみにしていると、音楽がかかってきた。この曲……もしかしてっ
「ねぇ、もしかして!この曲って『クライス』の初めての時の入場音楽じゃない?」
「ご、ごめんね。すずちゃん私、ライブとか行ったことないから分かんないよ。」
「え、あっ、本当?そうなんだ。この入場音は多分初ライブでがしたやつだと思うから拓朗くん達本当に『クライス』のことが好きなんだなぁ。」
「「へぇ〜。」」
でも、この音楽って確か初めて流れたのは『クライス』の初ライブの入場時だから作曲したのは『クライス』って噂が流れてるんだよな。たった一度きりしか流れてなくて、CDにも収録されてなかったのになんでここで流れてるんだろう?
この曲の特徴はなんと言っても目立つベースである。普通のバンドっていうかアーティストの曲はベースが聞こえにくい問題が起きている。そのためベースは必要ないという意見を持つもの存在している。私は好きなんだけどな。話がずれちゃった。今回の荒れ狂うほどに暴れているベースはスラップ演奏でバキバキ音を流している。『クライス』は全体的に
メンバーの技術力が高い。そのためギターとドラムは曲中でソロを設けたりしている。しかし、ベースだけソロがあったとしてもフレーズだけだったりとかそこまでだ。一般的な技術力が高いバンドはそれぞれのパートにしっかりと目立つ箇所を曲中に用意している。それなのに『クライス』ではなかなかベースが目立つシーンは少ない。そのような事情があるからこそ、この初ライブで『クライス』が作曲したであろうこの曲はレアなのだ。
もちろんこの曲はベースだけではなく、ギターとドラムも入っている。メンバーの登場シーンはすぐにわかる。登場シーンは登場するメンバーの担当楽器以外はミュートされているからだ。登場順はベースのヒメ、ギターのクロエさん、ドラムのナオちゃん、最後にギターボーカルのタク様の登場だ……




