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34話 到着

「あぁ、やっぱりすずじゃあないか。はは、こんなとこで会うなんて奇遇だな。俺か?俺はなんとなく駅前に来てみたんだがまさかすずがこうやって俺に会いに来てくれるとはな。これが運命。決められた定めって事なんだろうな。へへ。」

これから拓朗くんと会うため、るんるん気分で外出した私を最低な気分に落としてくれた。

「え〜、えっと……こ、こんにちは。私、他の人と待ち合わせしてるのでちょっと失礼しますね。」

私に急に馴れ馴れしく話してくれたこのお方は以前拓朗くんと決闘を行い敗北した近衛湊先輩である。

「おいおい、照れるなよ。ま、この前の俺の告白を断ったのも照れからだもんな。」

「いや。照れ隠しとかではなく本当に先輩のことが苦手なのでそのやめてもらえませんか?それに学校の決闘の規則上先輩はもう私に特別な理由がない限り関わってはならないはずですが。」

「何を言ってるんだ。今回は俺から話しかけたんじゃなくてすずが俺に会いに来たんだろ?それなのに話しかけてはならないのはおかしいじゃないか。」

えぇ、私。今先輩と会話してるんだよね?前回会った時は先輩の実家の自慢やばっかり言ってたからほとんど聞き流していたけど……まさか話が通じないタイプの人だったなんて。

「先輩、はっきり言いますけど私先輩のことは嫌いです。ですので今日は先輩に会いに来たんじゃありません。なので失礼します。」

「ちょ、待てよ。」

先輩は私の肩を掴みながら「はぁ〜」と大きなため息をついた。その後私の方を見てまた意味のわからないことをまた言い出したのだ。

「全く……ここまでツンツンな女の子に構ってやれるのは俺だけだぜぇ〜。たまにはデレってもんを見せて欲しいもんだ。」

な、なんでだ。なんで話が通じないんだ。私たちの通う学校は相当な進学校だ。なのになんでだ。私はそうと混乱していた。しかもいきなり掴んでくるなんて最悪だ。

「いや、本当にやめてください。それに肩から手を離してください。」

「いいや、離さないね。離したらまたどこかへ行ってしまうだろ?」

「本当にやめてください!叫びますよ!」

「できるならやってみればいいさ。」

ちょっと脅せばなんとかなるだろうと思って言ってみた。何か事件が起きた時男と女なら女の方に味方ができると考えて脅したのだが全く意味はなかったらしい。本当に最悪だ。逃げようと思ったら肩を掴まれて、話をしようにも通じない。どうしよう。追い詰められてしまった。

「本当にやめてください。離してください!」

できる限りの大声で叫んだ。しかし、周りの人たちは何も見て見ぬ振りをして去って行ったり、私たちをただの痴話喧嘩と思って若いっていいななんて声も聞こえてくる。本当に最悪だ。なんでこんな男と私が交際しているように見えるのか。この男の顔が意外とイケメンなのがまた周りの人間の不信感を薄らせてるんだろう。外見で判断をするな。はっきりとそう言いたい。しかし、私は特定の誰かを嫌うなんてことは今まで避けるようにしてきた。ここは苦手だが他にいいところがあるだろうと思うようにしていたのだ。さて、気づけば私、田中すずは近衛湊先輩のことを相当嫌いになってしまった。

「な、すずがどんだけ俺を避けようとしても俺らは運命で繋がってんだから誰も声なんかかけてこねぇよ。」

「そんなわけないでしょ。それに私はこれから友達と用事があるの、最初に伝えた通り私はあなたに会いにきたわけじゃあない。いい加減にやめて!」

「ならその友達との約束を断ってくれや。いいだろ?久しびりの再会なんだからよ。」

話の通じなさから私はだんだん腹が立ってきた。言ってることも支離滅裂だ。

「なんであんたなんかと一緒に遊びに行かなきゃいけないんですか。」

「全くさっきからわがままが過ぎるぞ!なんでこんなに俺を拒絶してるんだ?意味がわからないぞ。もう、しっかりしろ。行くぞ。」

私が一向に動かないことに痺れを切らしたのか、近衛先輩が私のことを引っ張っていこうとした。

「やめて。引っ張らないで!だ、誰か助けて!」

周りの人間は先程と同様に痴話喧嘩だと思って何も仕掛けてこない。拓朗くんの約束をすっぽかしてしまうことを非常に申し訳なく思った。が……


「おい、その手を離せよ。嫌がってるだろ。周りもこんな嫌がってる女の子放置して何やってんだ。」

その時、時計の針は11時40分を指していた。


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