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31話 驚愕

しばらくの間リアルの用事があるため、今週の更新は厳しくなると予想されます。すみません。

これからもよろしくお願いします。

互いの話をしながら歩くこと十数分。住宅街に入った。

「すずさんのお家って一戸建て?」

「うん、そうだよ。マンションだと思ってた?」

「いや、なんとなく聞いてみただけ。僕の家が一戸建てだからすずさんも一戸建てだと勝手に思ってたりはしてたけど。」

「家とかはやっぱり自分の基準で考えちゃうよね。」

「わかるよ。」

それからしばらくして表札が田中の家についた。

一般的な一軒家に比べるとかなりいいお家である。アニメのようなでかい城だったり豪邸というわけではないのだが、二階建てで満足に走り回れるにはがついている。それにお家の外見はとてもオシャレである。なんというかカフェというべきか、そういう感じである。

すずさんも僕と同じ感想を自分の家族のクラス家に持っているのか、『ここの庭では子供の頃よく遊んだ。』『屋根に登ろうとして窓から屋根に乗ったけど屋根が汚くてさらに危ないって怒られちゃった。』『合鍵はね、他の人に教えちゃいけないんだけど、ここにあるんだ。』と、自分の家の合鍵の場所まで僕に言ってきたのだ。

流石に僕はすずさんの発言に焦り、『すずさん、合鍵なんて他人にどこに置いてあるか教えちゃダメだよ。』と言ってしまった。そしたら、すずさんは顔を赤らめながら何か呟いていたが聞こえなかった。

「もうお家に入ろうか、最近暑くなってきたし熱中症にならないためにもね。キンキンに冷えた麦茶出すよ。」

「ありがとう。確かにちょっと喉が渇いてたよ。」

「うん!それじゃ入ろうか。」

ドアの鍵を開けて玄関に入る。家の外見との印象と内装は大きくかけ離れておらず、玄関に飾られている小物もお非常にセンスがある。

「ただいま〜。」

すずさんは多分いつもしている挨拶をして僕も挨拶をする。

「お邪魔します。」

「どうぞ〜、それじゃ喉乾いてるって言ってたし先にリビングで喉を潤してから私の部屋で勉強しようか。」

「ありがとう。助かるよ。」

何か不穏な単語が聞こえてきたけど聞き間違いだろう。台所近くにあるダイニングテーブルの椅子に大人しく座りすずさんを待った。

「はい、どうぞ〜。」

「ありがとう。」

「どうも〜。」

すずさんに渡された麦茶は宣言通りかなり冷やしてあったようで、飲むとかき氷を食べすぎた時のように頭が少し痛くなった。

「ご馳走さま。これ結構冷やしてたね。」

「うん、私の家族結構猫舌でお茶とか好きなのに熱いの飲めないからいつも大量に作ってから、少し熱を覚まして冷蔵庫に入れてるんだ。」

「なるほどね〜。僕も家で麦茶とか作るけど暑かったりぬるいのは好きじゃないんだけど冷蔵庫に入れるっていう手間を惜しんんじゃって結局ぬるいまま飲んじゃってるな。」

「確かに後一手間ってちょっと面倒になる時あるよね。幸いうちは両親が頑張ったのか私は物心ついた時から冷蔵庫にお茶を入れるのが習慣になったから苦はなかったけどね。」

「幼い頃からの習慣ってなんやかんや大切だね。」

すずさんと少し今まで歩いてきた疲れを癒すためかお互いの幼少期の話をして過ごした。

「そういえばさっきの妹の話で思い出したんだけどさ、強化週間とか言って拓朗くんが練習スタジオに泊まってた時妹さんは家で1人だったの?」

「いや、知り合いの大学生に頼んだんだ。妹のことが心配だからしばらく泊まってくれないか。」

「へ〜、結構信頼してんだね、彼女さん?」

すずさんはジトッと下目で僕のことを見てきた。しばらく返答をしないでいると、目をうるうるさせてきた。

「嘘だよ。確かに信頼はしてるけど同じバンドもメンバーってだけだから!それに初めて会ったのは僕がまだ小さい頃だから近所のお姉さんって感覚なんだ。それに彼女がいたら他の女性の家には入らないよ。彼女にも誘ってくれた人にも悪いからね。」

僕の必死の説明に納得してくれたのかすずさんは表情を戻してくれた。

「それじゃ、なんで黙ってたのよ。」

非常に気まずい質問を投げてきた。こんなの答えれるわけがないじゃないか。だって、ジト目のすずさんが可愛かったからこれからどんなふうに変化していくのが気になったのが理由なんて言えるわけがない。僕は何かこの状況を切り抜けられる言い訳を考えていると、すずさんが顔を真っ赤にしていた。

「もう!拓朗くん!揶揄わないで!」

「も、もしかして今の口に出てた……?」

まさかと思いすずさんに確認を取ると……

「バッチリ聞こえてたよ!もう揶揄えないようにお勉強するよ!二階の一番端っこが私の部屋だから、そこでするよ!」


え……?

マジですずさんのお部屋でやんの?



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