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ハンスが訪れてからしばらく経ち、定期的に行う薬の納品や砦の講習にも慣れてきてルリは街の人達や砦の衛兵達とのやり取りもだいぶスムーズに出来る様になってきていた。
やり取りがスムーズになったお陰かシロも街の人達に受け入れられてきて、すっかり街のマスコットみたいになっていた。
そんな風に楽しい日常をおくっていたルリ達に領主であるカルセドニー家からのお茶への招待状が届いた。
「え~、お茶会の招待状が届いちゃったよ。どうしよう?」
「お茶会!お菓子とか出るの?お菓子出るなら僕も行く!」
「お菓子は出ると思うよ?でも、貴族とのお茶会って緊張するなぁ~。服はどうしよう?ドレスとか持ってないんだけど・・・。」
「お茶会っていつもの服じゃダメなの?僕もオシャレした方がいい?」
「いや、シロはいつも通りで大丈夫でしょ。ちなみに、シロのオシャレってどんな感じなの?」
「僕のオシャレはねぇ~、鱗をピカピカに磨いて前にルリに作って貰った蝶ネクタイを着けるんだよ♪蝶ネクタイもいっぱいあるからどれにしようか迷っちゃうけどね♪」
「あ~、前に余った布で作ってあげた蝶ネクタイね。最近はあんまり着けて無かったから忘れてた。シロはそれで良いけど私はどうしよう?今から街に行ってドレス仕立てて貰った方が良いかなぁ~?」
「招待状にはドレスで来て下さいって書いてあるの?そうじゃないなら、ルリのお気に入りの水色のワンピース着ていったら?あれ、ルリに似合ってて僕も好き♪」
「そっか、招待状にドレスコードについて書いてるかも!もう一度ちゃんと目を通さないと。もし、ドレスコードが無かったらシロが言った通り水色のワンピースを着て行こうかなぁ~。あれなら、少しはマシに見えるでしょ。」
そう言ってルリは再び届いた招待状にきっちり目を通して、服装はドレスじゃなくて普段着で構わないと書かれていてホッと胸を撫で下ろした。




