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洗面所で顔を洗ってきたシロは素早く自分の席に着いてルリが座るのを待った。
そんなシロの様子を見てルリはクスリと笑い、朝食の準備を終えて自分の席に座った。
「はい、お待たせ。それじゃあ食べよっか。いただきます。」
「いただきます!」
元気よく食事の挨拶をしてシロは器用にフォークを手で持って大好きなサラダを食べ始めた。
「ふふふ♪シロはサラダが好きね~。私も嫌いじゃないけど、そんなに美味しそうに食べてもらえると作ったかいがあるわね♪」
サラダを幸せそうに頬張りながらシロはルリに向かってグッと親指を立てた。
口に入ってたサラダを飲み込むとシロは口の回りにドレッシングを付けてキラキラした瞳でルリを見た。
「だって、サラダは美味しんだもん!お母さんの所に居た時は生の野菜や草をそのまま食べてたけど、ルリに出会ってドレッシングの存在を知った今は前の食事に戻れないよ~。お母さんも人間の作る料理は旨いから人化の術を習得して料理を覚えないと長い人生食事で苦労するぞ!って口を酸っぱくして言ってたよ!」
「え!セイ様ってばそんな事言ってたの?そう言えば、師匠の所に度々お酒を持って料理習いに来てたわね。竜であるセイ様がわざわざ何でだろう?って疑問に思ってたけど、そう言う事だったのね。何だか納得だわ。」
「お母さんが言うには人間の作る料理は不味いのももあるけど、ルリのお師匠さんが作る料理は全部旨いからついつい食べに行っちゃうんだって。」
「ああ、確かに師匠ってば外見に似合わず料理が上手かったわね。私も師匠の味付け覚えたくてよく手伝ってたわ。懐かしい。」
「お母さんも似たような事言ってたよ。人間の寿命は短いから、あの子が生きてるうちに料理を覚えないと一生食べられなくなるわ!って。竜は長寿だから色んな趣味を持つのが多いんだけど、なかでも料理をする竜は圧倒的に多いんだよ♪自分で料理の研究したりして、結構美食家なんだ~♪」
「あ~美食家なのは何となくわかるわ。竜ってこだわりが強いイメージだから。それで言うと師匠の料理って凄いのね、竜に認められたって事なんだもん。」
「うん!お師匠さんの料理のレシピは結構人気だったよ!お母さんがお師匠さんの料理のノートを持って行くと皆我先にって群がってたもん!」
「え~!群がるって・・・。何かうちの師匠が薬じゃない事で注目されてた・・・。」
「今でもお師匠さんの料理レシピは竜達の間で重宝されてるんだよ!」
そんな風に意外な事実を知ったりしながら朝食を済ませ二人は、ルリは庭の畑の整備・シロは朝のパトロールに出掛けた。




