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ルリは先ず治療する為に鞄の中にあるアンに飲ませる薬や香を出し、近くにあったテーブルに並べた。
次に部屋の窓を開けて、テーブルに並べた香に火を付けアンの枕元に置いた。
こうして治療の事前準備が整い、ルリは本格的な治療に移った。
アンの眠るベッドの側に膝をつき、自分の魔力を右手に集中させた。
魔力が右手に集中したら横たわるアンのお腹に魔力が集中した右手を置き、アンの体の中にルリの魔力が行き渡る様にゆっくり流し込んだ。
魔力がアンの体に行き渡ったら更に集中し、体の中にある毒を魔力で探り出した。
しばらく集中し、ルリの額に汗が滲んで来た頃、アンの中にある毒を全て探知した。
探知した毒を魔力に絡め体外に排出する為にゆっくり魔力を移動させ、用意してあった桶に毒を口から吐き出させた。
大体の毒を吐き出させた後はユースが用意したお湯で口をゆすがせ、口の中が毒で爛れてないかチェックしてお湯に溶いた薬を手早く飲ませ横にならせた。
とりあえず、緊急を有する処置を終えてルリは肩の力を抜いた。
すると側で見ていたルイーゼがルリに声をかけた。
「魔女様、アンちゃんはどうなったんですか?助かったんですか?」
「えぇ、もう大丈夫ですよ。体にある毒は大体吐き出させたので命の危機は去りました。後は、此方で処方した薬をちゃんと飲めば一週間もすれば普通の生活がおくれるようになるでしょう」
「本当ですか!!ありがとうございます魔女様!!本当にありがとうございます‼」
兄であるユースは涙を流して喜び、アンの看病をしていたルイーゼも口を手で押さえて泣き出した。
二人が泣き止んで落ち着いた頃にルリは今後アンに飲ませる薬の説明をして、アンにするべきことを全て終えた。
その頃になるとベッドで寝ていたアンの呼吸も落ち着き、顔色も良くなっていた。
「それにしても、毒草だなんて。アンちゃんは一体何処で毒草なんて食べたのかしら?」
毒の事を知らなかったルイーゼは最初驚いていたが、毒草を食べた事を説明したら何処で食べたのか疑問を浮かべた。
「その事何ですが、どうやらアンちゃんが体調を崩した日に幼馴染の女の子と山菜を取りに行ったと聞きました。お宅の娘さんではないですか?もしもその時の山菜を他の人達も食べてたら少し不安なので、食べた方は診察させて下さい。一応確認しておきたいので」
「山菜取り?確かに2日前に娘が山菜を持って帰って来たけど、あれは貰い物だって聞いてたけど?ユース君がたくさん持って帰って来たから貰ってきたって聞いてたけど・・・違うの?」
「え!俺は山菜なんてあげてないよ!?俺は妹におばさん所のレイちゃんと山菜を取ってきてって妹から聞いてたけど!第一俺山菜の知識なんて全然無いから取ってくるの何て無理だよ?俺はてっきりおばさんとレイちゃんと三人で山菜取りに行ったのだとばかり思ってたけど?」
「イヤイヤ!私は行って無いよ!・・・もしかしてあの子ったらアンちゃんと二人だけで山菜取りに行ったんじゃ‼直ぐに確認しないと‼」
「ちょっと落ち着いて下さい!とりあえず診察が先です‼何かあったら大変ですから!奥さんのご家族でその時の山菜を食べた方を教えて下さい。お兄さんも食べたなら診察します」
こうして急患の治療は終わったものの、まだまだやる事が残っているルリだった。
新たに名前が出て来ました。
幼馴染の女の子レイちゃんです。
元気な子で母親であるルイーゼによく「落ち着きなさい」ってよく言われています。
幼馴染のアンちゃんが近所の悪ガキ絡まれてた時はアンちゃんを守る為に取っ組み合いの喧嘩をしたほど元気が有り余ってる。




