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「おお、ありがたい。一応街で売っている薬も試してみたのだが、少し体調が良くなるくらいで完全に回復する訳ではないのだ。だから、魔女殿がこの土地に帰って来たと聞いて神が使わした奇跡だと思った程だ。本当にこの土地に来てくれてありがとう」
そう言ってキースは椅子に座ったまま頭を下げた。
「いえ、私も先代からこの土地の事を昔からよく聞いていてので此処に来るのは楽しみにしてたんです。ですので、お礼は不要ですよ。頭を上げてください。それよりも、奥様の事を話しましょう。奥様もきっと薬を待っている筈です」
そう言われてキースも頭を上げて自分の妻について話始めた。
「ああ、すまない。本当にありがとう。そうだな妻もきっと薬を待っている筈だ、それに何より妻は代々我が侯爵家と交流がある薬師の魔女に会いたがっていたから魔女殿の話をしたらきっと喜ぶ。妻の病状については私が話してもいいが、街の医者に診て貰った時に書かれた診断書を持ってきた。一応内容も妻の世話をしている者にも確認をとっているから今の妻の状態を詳しく書かれている筈だ。セバス、診断書を」
「はい。こちらに」
セバスは懐から書類が入ってそうな封筒を取りだしルリに差し出した。
ルリはそれを受け取り、直ぐに封筒から診断書を取りだした。
「それでは、読ませてもらいますね。しばらく時間がかかるかもしれませんがお茶でも飲みながらお待ち下さい」
「ああ、かまわない。宜しく頼む。」
こうしてルリは診断書を読み始めた。




