10話 尋問
それではどうぞ。
「で、どういうことなの?兄さん。」
頬を膨らませ、私怒っていますといった風なアミスが俺に詰め寄る。
俺は妹(義理)から尋問を受けていた。
露店で久々に会ったアミスは俺がミーナの家に一緒にいること知ると、俺は早々に露店を切り上げさせられ、近くの食堂に連れていかれた。
◇
「……なるほどね。うーん。」
俺の前で一人唸るアミス。
最初は機嫌の悪かったアミスも俺のこれまでの真摯な説明を聞くうちに徐々に気持ちも変わってきたようだった。
「まあ、仕方ないか……。どこに泊まっているか分からないよりはミナ姉の場所の方がまだ安心できるし。」
うんうん、そうだろ、っと俺は頷く。
「それより、さっき気になることがあったんだけど。」
頷いていた俺をジト目で見るアミス。
え? 俺、なんか余計なこと言った?
「リアが宿代を出そうとしたとか聞こえたんだけど。」
「あ、ああ。見かねたリアが杖を作った御礼にって。それがどうしたんだ?」
アミスのジト目がきつくなる。
「なんでそんなに仲良くなってるの?前はそんなんじゃなかったよね。……そういえば、兄さんの状況を教えに来てくれた時、けっこう楽しそうに話してたわね……。」
「まあ、冒険者ギルトに行ったり、いろいろ世話にもなったからそのせいじゃないかな。それ以外には特に何もしてないぞ、俺は。……いや、杖を作ってあげたりしたから、そのせいかな?」
それを聞いたアミスは溜息をつくと、やれやれというように首を数回、横に振った。
「はあー、仕方ないわね。まあ、なんにしても兄さんが元気そうでよかったわ。」
そう言って、アミスはこちらを見ると笑顔を見せた。
「ああ、そうだな。まあ、アミスも元気そうで何よりだよ。外出してもいいってことだけど、泊る場所は同じなのか?」
「……ええ、そうみたい。どうかしたの?」
アミスが不思議そうな顔をして聞いてくる。
俺はミーナから聞いていた話を伝える。
「そうなのか。ミーナがアミスの部屋もあるって言っていたからな。また、三人で集まれるかと思ったんだけど。」
アミスは驚いた顔をする。
「え!?ほんと?私の部屋もあるの?ミナ姉が言っていたの?」
体を前のめりにして俺に聞いてくるアミス。
俺は若干引き気味になりながら答える。
「あ、ああ。ミーナが言っていたからな。」
「……そうんなんだ、ふふふ。何とかして場所変えれないかしら。ミナ姉の場所から通えないかなあ。」
ここに来た時とは一転して嬉しそうにしているアミスを見ながら、昔みたいにとはいかないまでも、また、三人で仲良く暮らせるといいんだがなと思うのだった。




