3話 庭付きの家
すこし時間ができたので、また、たくさんの方に読んでいただいた感謝を込めて、こっそり更新です。
それではどうぞ。
そうと決まれば、それからの行動は早かった。
すぐに自分の部屋に戻り宿を発つ準備を済ませると、宿の外で待つ二人のもとに向かった。
「リトさん、ミーナの家ってけっこう大きいんですよ。」
「へえ、そうなんだ。リアは行ったことあるの?」
「ええ、一度だけ。ミーナが家を買ったときにお呼ばれしました。」
「へーそうなんだ。」
そんな世間話をしていると、それまで無言だったミーナが声をかけてきた。
「……リト、リアとそんなに親しかったっけ?それに、ねえ、なんでリアが付いてきているの?」
「……気にしないでください。それに二人っきりにして間違いがあったらダメじゃないですか。」
「……ねえ、間違いって何?それに私とリトって一度は婚約をした仲なんですけど。」
俺は魔眼を使っていないはずなのに、二人の後ろに両手を広げていきり立つハムスターとアライグマの幻影を見た。
「ま、まあ、二人ともせっかくなんだから仲良く行こうよ。ね。」
「「……。」」
すると、二人にジトーッとした目で見られた。
◇
宿から出て、少しの時間歩くと周りは少し広い家々が建ち並ぶ風景へと変わってきた。
「へえ、ここらはちょっと雰囲気が違うんだな。」
すると、ミーナが。
「そうね、リトがいたのは宿屋やギルト、市場が並ぶ商業街。ここら辺からは住宅街ね。」
リアが続ける。
「その中でもここら辺は成功した商人や冒険者といった比較的裕福な人が住む区域なんですよ。もう少し先の王城に近い場所になると貴族階級しか住めない高級住宅街なんですけどね。」
なるほどね。そう思い辺りを見ると、たしかに裕福そうな家々が立ち並び、少し見かける人々も余裕が見える。
「いきなり田舎者が来ると警戒されるけど、リトは比較的マナーもしっかりしているし大丈夫でしょ。」
「そうですよね、リトさん、結構マナーができてますよね。どこで学んだんですか?」
「あはは。そうかな?」
俺はとりあえず笑って誤魔化す。まあ、生まれる前から知っていたんです、とは言えないよね。
◇
住宅街に差し掛かってから少し歩くと、庭の付いている2階建ての少し大きな家が見えてくる。
「ほら、あれよ。」
ミーナがその家に向かって指を指す。
「そうです、そうです。たしかあんな家でした。当時はなんでこんな家買うのかなって不思議に思ってましたよ。」
リアが思い出すように言った。
「あの家?ちょっと大きくない?」
ミーナがの方を見て聞いてみる。
「まあ、一人で暮らすには大きいのよね。だからリトに来てもらえるとありがたいのよ。だって、教会でのお勤めが終わってあんな大きな家に帰ってきても一人だと寂しいのよね。」
たしかにそうだよな。
こんなことなら、早めにミーナの家に行った方が良かったのかな、そんなことを思う。
するとリアが。
「たしかに、家に帰っても一人だと寂しい時がありますよねー。」
そんなことを言う。それを聞いたミーナは少し考えるようにすると。
「……なんならリアも時々遊びに来る?夕食時でもいいし。」
「本当ですか!?行きます!」
「そっ。まあ、そのうちアミスも来るだろうし。賑やかになりそうね、リト。」
そう言うとミーナは俺の方を見て笑顔を見せた。
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