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閑話3

閑話最後になります。それではどうぞ。

まあ、うちのアミスはそんなに簡単にはやれません、ということですね。

評価の方をよろしくお願いいたします。

朝、いつもの通りに練習の準備をする。ただ、心の中はいつもとは違いすっきりしていた。

そんな私を見て、イリスが声をかけてくる。


「今日は良い顔をされていますね。最近はどこか意識がここにあらずといった時がありましたから。」

「そうね、これもリリア様と話をしたおかげかしら。」


そう返す。


「あ、そうそう、この剣、もう処分しておいていいわ。」


そう言って、私はユウヤからもらった剣をイリスに渡し、兄さんから貰った大切な剣を持って部屋を出た。


練習場に着くと、いつもと違い少しざわついていた。

集まっていた騎士たちの視線の先を見ると、ユウヤとロイの二人が立っていた。


はあ、スッキリした気分が台無しね。

変わって憂鬱な気分になり思わずため息がでる。


ロイは私に気が付くと、尊大な顔をしてこちらに歩いてくる。

その後ろにはユウヤが付いてきていた。


「アミス、遅かったな。待ちかねたぞ。」


私はあからさまにため息をつくと、ロイに問いかける。


「はあ。待ちかねたって何をなのよ。」

「ああ、ユウヤから、アミスがよからぬ剣に惑わされていて、そのせいで、俺への返事も遅くなっているのだろうと教えてもらってな。それならば俺がその呪縛から解き放ってやろうと、早くから待っていたわけだ。」


私は、ユウヤの方をちらっと見ると、いやらしい目をして私の剣を見ていた。

私はユウヤから目を背けると、ロイに話しかける。


「そうなの。……それで何をするつもり?」

「ん? ああ、それは決闘だ。もちろん殺し合いは無しのな。なんでもその剣が金属でできた剣より良いと言っているとか。それならば我が家に伝わるこの由緒ある剣で確かめてやろうと思ってな。」


そういってバカにした方な目で私の剣を見てきた。


「そう……。」


受けるべきか受けないべきか。

受けても受けなくても難癖をつけてくるような気はする。


私が悩んでいたその時、後ろの方から声がした。


「どうしましたか?」

「え? 姫様!?」


気が付いた騎士たちがざわめく。

声のした方を見ると、リリア様がお付きのメイドや護衛を従えて立っていた。



話を聞いたリリア様が神妙な顔をする。

どうやら今日は、偶々私の練習の様子を見に来たそうだ。


「そうですか。……アミス、どうしますか?」


リリア様が私の方を見て、聞いてくる。


「……受けます。でも、もし私が勝ったら、ロイはもう私には会いに来ないでください。」

「ロイマール様、それでどうですか。」

「もちろん、受けますとも。アミス、その代わり、私が勝ったら私のものになれ。」


それを聞いて、驚いた顔で私の方を見るリリア様。その顔は本当にいいの?と、そう言っているようだった。


私は彼女の目をしっかり見て一つ頷いた。

リリア様は一度目を閉じた後、目を開いて私とロイを見る。


「分かりました。それではリリスティアーナの名の下に、この決闘を行うことを許します。そして今、交わされた約束を違えることはわたくしが許しません。」


そう言ったのだった。

それより……ロイマール? こいつそんな名前だったんだ。


決闘はすぐに行われることになった。

練習場の中央が開けられ、私とロイが向かい合う。


堂々とした構えで、両手で剣を構えるロイ。

一方、私も両手で剣を構える。


リリア様の始まりの合図。


「それでは始めてください。」


合図と同時にロイは瞬時に間合いを詰める。


「ちっ!」


彼は声と同時に上段に構え直していた剣を、間合いを詰めると同時に振り下ろす。

私は剣を合わせることなく、横に体を動かしその剣を避ける。

ロイはすぐに後ろに下がると再度剣を構えた。

再度、間合いが開く。


思ったよりも強い。


さっきの剣筋を見てそう思う。でも勝てないほどじゃない。

今度は私の番だ。

私はロイの方に駆けて間合いを詰めると、横なぎに相手の胸の高さを狙って剣をふるう……、そしてその途中で剣筋を変えて、腹を狙う。


ロイは腹を躱すこともせず、ただ腹を薙がれる。


「ぐっ。」


ロイがうめき声をあげ膝をついた。


「ああ、あれにやられちまったよ。」

「あれ、胸辺りに来ていると思ったら、いつの間にか腹を切られてるんだよな。初めて受けたときは幻でも見ているみたいだったぜ。」


周りの騎士たちのそんな声が耳に聞こえる。


「ロイマール様、まだ続けますか?」


リリア様が勝敗を確認する。


「……いえ、まだです。」


そう言うと、ロイは剣を杖代わりにして立ち上がり、再度剣を構えた。


私とロイは睨み合う。

周りの騎士達も固唾を飲んで見守っており、誰もしゃべらない時間が続く。


「しっ!」


さっきよりも速い動きでロイは間合いを詰めると、上段から剣を振り下ろす。

間合いを詰めて来ると読んだ私は彼が駆けると同時に少し体を横に動かした。


ロイは気にした風もなく勝ち誇ったような顔で、まるでその場に私がいるかのように、さっきまで私がいた場所にそのままに剣を振り下ろす。


「な!?」


ロイの声が聞こえる。まるで切れなかったことが信じられないような声だった。


そして私はその隙を逃さず。


私にはできる! 兄さんのこの剣であの剣を叩き切ることができる!


そう強く思い、すでに横へとさけた誰もいない場所に振り降ろされたロイの剣の上に、私の剣を力の限りに振り下した。


パリン!


砕けたのは彼の剣。私の、兄さんの剣は彼の剣をあっさりと砕いたのだった。


「馬鹿な!?」


ロイの声が漏れる。まさか剣を砕かれるとは思っていもいなかったのだろう。


「くそっ。もうちょっとだったのに!」


ユウヤのそんな声が遠くから聞こえた。


「そこまでです。アミスの勝ちとします。」


リリア様の声とともに、ロイはその場で膝をつき、項垂れたままの姿で立ち上がれない。

おそらく彼にとっては負けるはずのない闘いだったのではないか。


まあ、でもこれで付きまとわれることもないだろう。


ん!?


一瞬、頭の中を何かがよぎる。

また何かよからぬ虫が兄さんに近づいている気がする!

ちょっと待っててね、すぐに剣の練習なんて終わらせて、そっちに行くから。


私は一刻も早く基礎練習を終わらせ、外出許可を得て兄さんのところに向かう決心をした。


そんな心を滾らせる私の顔を見て、私が何を思っているのかを察したのかリリア様が。


「あはは、お兄さんは大変ですねー。」


そんなことを言っていた。

なんとか4章で出てくる人物の伏線も出せたので、次回から4章、ミーナとその友達を中心とした話を投稿していきます。大まかなプロットはできているので、来週の土曜日には投稿できると思います。後、そろそろ一度、登場人物をまとめたものを投稿しようと思ったり。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 魅了ってやっぱつまらんなと改めて思わせてくれた作品。 主人公も動かなすぎてつまらないしここでギブアップします。
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