41話 そしてヒモへ
それでは三章最終話になります。それではどうぞ。
気絶していたリアとヒルデガルドの二人が目を覚ます。
まあ、リアは気絶させられたんだが。
ヒルデガルドは上半身を起こすと、リアの方を見る。
「結果は……。はあ、私の負けですわね。」
リアは少しだけ申し訳なさそうにヒルデガルドを見る。
「ヒルデガルドさん……。」
「リア、そんな顔しないでください。」
「でも、この杖のおかげで勝てたようなものなので。」
「いいえ、杖も魔術師の力の一端です。……それより。」
そう言ってリアの杖をじっと見るヒルデガルド。
「その杖、何なんですか? 解放なしにオートガードまである杖なんて聞いたことありませんわ。」
リアはまるでもう手放さないといったように杖をその胸にぎゅっと抱きしめる。
「ふふふ。まあ、私のためだけに。そう、私のためだけに作られた思いのこもった杖ですからね。ふふふ。」
あれそうだっけ? しかも、なんか脚色されていたような気がする。
リアの話を聞いてヒルデガルドが食いつく。
「作った? その杖、作ったんですか!?どなたがですか? リア、教えなさい!」
「いいえ、教えません。」
俺は、そんな二人のじゃれあいを少し離れた位置からぼーっと見ていると背後からメリッサが声をかけてきた。
「リトさん、あの子、結構重たいですよ、きっと。それに、あまり色々な女の子に粉をかけていると、そのうちミーナさんに殴り殺されたりして……。」
そんな物騒なことを言ってきた。
そんな話をメリッサとしていると、リアが向こうからやってきた。
それもすごくニコニコとした笑顔で。
「リトさん、こんなすごいものをプレゼントしてくれてありがとうございます!御礼にリトさんの宿代とか食事代、私がずっと払いますよ!」
「い、いやー、さすがにそれは悪いから遠慮するよ、あはは。」
笑って誤魔化すものの、リアは気にした様子もなく。
「いえいえ、この杖にはつり合いません。それにこれでも私、リトさんを養えるぐらいはお金持っています。どんと任せてください。」
リアの中では、いつの間にか、俺は養われることになっているみたいだった。
……俺のジョブ、ヒモじゃないよね。
「リトさん、ミーナさんにばれたらどう言い訳するんですか?」
メリッサがリアには聞こえないように耳元でぼそっと呟いた。
「あは、ははは。」
ほんと、どうしよう。
なんとか3章を終了することができました。これも皆さんのおかげです。ありがとうございました。
次章はミーナとその友人たちが出てくるお話になります(が、まだプロットがまったくできてません……)。ただ、その前に、この章では出てくることがなかったアミスの閑話を挟もうかなと思っています。それでは、また次のお話で、次回は日曜日の予定です。




