40話 暴走
ようやくここまで来ました。それではどうぞ。
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「あはははは。」
リアは高笑いしたまま杖を上に掲げる。
あわてて構えるヒルデガルド。彼女の背後に氷の竜が現れる。
一方、リアの掲げた杖の先に強大な炎の渦が現れた。
「い、行きなさい。」
このままではまずいと感じたのかヒルデガルドが先行して攻撃を仕掛けた。
氷のブレスがリアに襲い掛かる。
リアは何もせずに炎の大渦を掲げたままじっとしている。
「リア!?」
俺は思わず叫ぶ。
ザッ。
その時、リアの周囲の地面から樹が数本生えると、ツタで編まれた壁ができる。
氷はその壁にぶつかるが、壁はびくともしない。
「オートガード!? 嘘? あの杖なんなの!?」
ヒルデガルドが叫ぶ。
氷のブレスを抑えきるとツタは勝手にほどかれ、樹は地面へと戻っていく。
「ああ、あれ見たことあります。あれには苦労させられました。」
メリッサが苦笑いする。
「どこで?」
俺はどこで見たかなんとなく分かったが、とりあえず聞いておく。
メリッサはこちらを見ると教えてくれた。
「それはもちろん、あの杖の基となった竜と戦った時ですよ。嫌な思い出です。」
そう言ってため息をつく。
そうこうしているとリアが動いた。
「ほらいきなさい。」
そう言って杖を前に突き出す。
すると、再び地面から樹が数本生えてくると、ツタが伸びて空中に魔術陣を作る。
「あんなことができるんですねー。あれ増幅の魔術陣ですよ。……ああ、それとリアさんまだ理性は残っているみたいですよ。ヒルデガルドさんからちょっとずれてますし。」
メリッサが他人事のように呟く。
陣の中央にある円環を通って収束された炎がヒルデガルド(の僅か横)に向かって発射された。
ゴウ。
すごい音を上げてヒルデガルドに迫る炎。掠るように彼女の横を通り過ぎると光の膜にぶつかる。
「ぴいっ!?」
ヒルデガルドはそのまま倒れた。
「きゅう~。」
あ、気絶したみたいだ。
リアの方を見ると。
「あははははは。」
まだハイテンションモードが続いていた。
俺は無言でメリッサを見る。
彼女はこちらを見ることもなく。
「さて、止めてきますね。」
そう言って中央に歩いていくと、暴走するリアの頭を殴って気絶させたのだった。
次回で3章は終了です。




