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37話 決闘

それではどうぞ。

走り続けること十分くらいだろうか、バーケルンが周りよりひときわ大きな建物の前で急停止する。


「よし、ここだ。」


彼はそう言うと、俺を抱えたまま扉を開けて建物の中に入る。


「え、えっと、魔術師ギルドに何の御用でしょうか。」


中に入ると、明らかに魔術師ではない風貌のバーケルンを見て、おそらくスタッフと思われる人がぎょっとしてこちらを見た後、なんとか職務を全うしようと用件を聞いてきた。


「ああ、ちょっと奥の決闘場に用があってな。このまま通らせてもらうぜ。」


「へ?あ、ちょっと。」


止めるスタッフを無視してそのまま奥に入って行く。


いいのか?……まあいいか。


俺はそう思い、そのまま奥へと入って行った。というか抱えられたままなので着いていくしかないのだが。


地下へと続く階段を降りると、そこは広場となっており、中央で向かい合うように立つ二人の女の子を囲むように薄い光の膜が覆っている。

そしてその周囲には十数名あまりの人が立っていた。


あ、リアと、……えっと、ヒルデ……だれだっけ。


リアと金髪ロールの彼女は交互に炎を氷の魔術を打ち合っていた。


互角? いやリアが優勢か?


魔術の数はリアの方が多い。


「くっ。」


金髪ロールの子が苦しそうに声を出す。

更にリアの炎が襲い掛かる。


「きゃあ。」


金髪ロールの子が炎を受けて後ろに倒された。

ようやく降ろされた俺はメリッサを見つけると、傍に向かい声をかける。


「リア、優勢みたいだな。」


メリッサはじっと金髪ロールの子を見たままで。


「ええ、そうですね。今のところは、ですが。……それにヒルデガルドさんのあの杖、何かあるとは思うのですが……。」


そう言って言葉を濁す。


うーん、見た感じはリアがこのまま勝ちそうだけどな。

まあ、勝つんだったら杖はあとでもいいかな。


そう思い、手に取った杖を見た後に、リアとヒルデガルドの方を見る。


「あら、それは?」


メリッサは俺の持つ手に気が付いたのか、ジーっと杖を見る。


「へえー。うふふ。」


メリッサをちらっと見ると、ニマーっとした笑みを浮かべこちらを見ていた。

まるで、おもしろいおもちゃをまた見つけたといった感じだ。


俺はメリッサの視線を無視して中央で向かい合う二人に集中するのだった。

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