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35話 確保

それではどうぞ。

よし!


俺は小ばかにしたように顎を動かしている竜を見据える。


ああ言ったものの、あの竜に魔眼、効くんだよな?

効かなかったら……。


あの顎をで食いちぎられる自分を想像してぞっとする。


いやいや、効くはずだ。だってただの木にだって効くんだから。


俺は自分の持つ魔眼の一つ、幻惑、を使う。


「へえー。」


空気が変わったのことに気づいたのか、バーケルンが声を感嘆の挙げる。

竜が一瞬の顎の動きを止める。その後、何事もなかったのようにまた動かし始める。


俺はゆっくりと近づき始めた。


「おいおい、大丈夫か?」


バーケルンが心配そうに声をかけてくる。


「ちょっと黙っていてください。」


メリッサが何かを見逃すまいと俺をじっと見たままでバーケルンにいう。

一歩また一歩と近づいていく。


再度一歩を踏み出そうとしたとき、竜が飛び掛かってきた。

ただ狙いは俺の少し横に逸れている。


魔眼で俺のいる場所を少しずらして認識させたのだ。

暗示や魅了を使えばおとなしくさせることもできるが、あの竜がいきなり動かなくなるとメリッサとバーケルンに怪しまれるだろう。


いくら覚悟を決めたとはいえ、危ない橋をわたることはない。

後は、来る場所さえ分かっていれば何とかなるだろう。


俺は竜が飛び掛かってくる来る場所とは反対側に避けるように体を動かす。


ガキン!


真横から音がして、噛みつかれることはないとはいえヒヤリとする。


「ん?」


バーケルンが何か違和感を感じ取ったのか声を挙げるが気にしている暇はない。

まあ、これぐらいは覚悟の上だ。


俺は竜の首根っこを両手でつかむ。

そしてそのまま、魅了の魔眼の力を目いっぱい叩きつけた。


手の中でビクンッと竜の首が動く。

そのままなだれ落ちるようにして頭を下に向けた。


「やりました。どうやら俺が首をつかむとおとなしくなったみたいです。……ジョブの力なのかな。」


「おお、やったか。」


「……そうですね。」


うれしそうなバーケルンと違ってメリッサはジーっとこちらを見たまま怪しんでいるようだった。


俺はこのまま押し切るように続ける。


「うんうん、やっぱり、メリッサの言った通り木彫り職人の力でなんとかなったみだいだ。」


そう言って、メリッサの方を見て笑顔を見せる。

彼女はこちらをジーっと見た後、目を閉じてため息を一つつく。


「はあ。……そうですね、思った通りでした。」


どうやら今回は追及するのはあきらめてくれるらしい。


俺はようやくリアの杖の素材を手に入れたのだった。

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