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34話 覚悟

展開に悩みましたがどうぞ。書き直すかもしれません。

とりあえず俺は竜の素材改め竜を睨みつけている。

竜は人を馬鹿にするように顎をかくかくと動かしていた。


うーん、どうするか。


メリッサに言うように抑え込めるか、と言われればできるだろう。

魔眼を使えば一発だ。


リアのためだ、やるか。


俺は魔術陣の向こう側へと一歩また一歩と踏み出した。


ん?


さっきまで動いていた竜の顎がぴたりと止まる。

俺も足を止めてじっと見つめる。


……なんとなく相手もじっと見てきているような気が……。


俺は勇気を振り絞って一歩を踏み出した。


「リトさん、危ない!」


「へ?」


さっきまで動かずにいた竜の頭が目の前で顎を大きく開いて俺を噛み千切らんとしていた。


「うわ!?」


思わず横に飛びのく。


ガキンッ!


顎が閉じて樹とは思えない硬い音が響く。

そして、再度口を開いた竜の顎が襲い掛かってきた。


「ちょ、ちょっと待って。」


やばい避けきれない!?


そう思い覚悟を決めそうになった時、目の前に黒い大きな影が現れる。


「おらぁっ!」


声でその影がバーケルンだと分かる。

どうやら俺と竜の間に入って頭を横に蹴り飛ばしたようだ。


「大丈夫か。」


バーケルンは背を向けたまま、俺にケガがないか確かめてきた。


「あ、ああ、大丈夫。ありがとう、助かった。」


「気にするな。それよりメリッサ、どういうつもりだ?」


え? どういうこと? またあの女なにかしやがったのか?


「なにがですか?」


「俺はてっきり危なくなったらお前が魔術を使って防ぐのかと思っていたらまったく動かなかったからな。おかげで飛び出るのが一歩遅れたじゃねえか。」


「……いえ、使うつもりでしたよ。ただ、あなたが飛び出すのが分かったから使うのを止めただけです。」


「へえ、そうかい。」


……なんか俺をほったらかしにしてシリアスな世界が展開されている。

メリッサとバーケルンって仲が良いのかと思ったらそうでもなさそうだし。

やっぱり、派閥とかがあるのか?


それよりこの空気どうしよう。


俺はこのシリアスな空気をなんとか変えようとメリッサに声をかける。


「えっと、で、メリッサ、あの竜をどうしようか。」


俺の言葉を聞いてバーケルンが驚いた声を出す。


「おいおい、まだヤル気か? やめとけ、こいつ思ったより回復してやがる。今まで放置していたがそろそろつぶしておいた方がいいだろう。」


つぶす? それは困る。そんなことをされるとリアの杖の材料がなくなってしまう。


「いや、つぶされるのはちょっと困るというか。」


さっきの動きややりとりを見ていると魔眼を使えば、怪しまれるような気はした。

そこまでして杖の材料を手に入れる必要があるのかとも思う。


……ただ、王都までの旅を振り返るとあのメンバーといるのはそれなりに楽しかったし、あのパーティからリアがいなくなるのはちょっと残念な気がする。それに森での彼女の話を思い出すとなおさらだ。


俺は改めてこの魔眼を使う覚悟を決める。


「それに、あいつがどんな速さで動くのか分かったから、今度はうまくやるよ。」


なんかメリッサに思惑に乗っているような気もするけれど仕方がない。


「へえ、そうかい。それじゃあ、俺は見学させてもらうか。」


バーケルンが目の前から文字通りに消える。

メリッサの隣に瞬時に移動したようだ。


メリッサの方を横目でちらっと見る。

てっきりいつものようにしてやったりといった顔で笑みを浮かべているのかと思いきや、少し驚いた顔でこちらを見ていた。


あれ? 早まった?

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